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マロン寮RIO:引継ぎ ナビ→マロン もゆハメは:キャラはそのまま、CNを「っもゆにーそ」に変更 ナビ→マロン いちご:キャラをヤンヤンに、CNを「あらう」に変更 うるるん:引継ぎ おたり:引継ぎ ナビ→マロン きりみ:情報募集中 はなぢぷぅ:引継ぎ ナビ→マロン ひないちご:キャラをクララに、CNを「しまつむぎ」に変更 ナビ→マロン みたはん:引継ぎ ナビ→マロン もえたん8:キャラをヤンヤンに、CNを「ヤンレイリー」に変更 りぼん:情報募集中 やぐつぃー:情報募集中 キミドリ:キャラはそのまま、CNを「どれっど39」に変更 ココット:引継ぎ ナビ→マロン コニャン2:情報募集中 シンシア:情報募集中 チャチャ:引継ぎ ナビ→マロン ノエル:情報募集中 バルムンク:情報募集中 ピーナ:引継ぎ ミドリ:情報募集中 ガルーダ寮AINE:キャラはそのまま、CNを「HERMES」に変更 MYA:引継ぎ しっさく:情報募集中 なぎさ:情報募集中 ののみ:情報募集中 みるみる キャラをユウに、CNを「みるみるE」に変更 ナビ→ミランダ アラジン:引継ぎ エメラルド:引継ぎ エンプレス(平田):情報募集中 パパおかね:キャラをクララに、CNを「いえがもえた」に変更 ナビ→マロン バルンガ:引継ぎ ナビ→リディア メカののみ:情報募集中 リナ:情報募集中 ロリエル:キャラはそのまま、CNを「アプセット」に変更 ナビ→ミランダ フランシス寮H-R:情報募集中 Iスオーレ:情報募集中 SOU:引継ぎ せってい6:情報募集中 ほのか:キャラをヤンヤンに、CNを「たんげさくら」に変更 もっとして:情報募集中 りん:情報募集中 わいあるど:キャラをヤンヤンに、CNを「わいあるどぅ」に変更 イオラ:情報募集中 シェスカ:情報募集中 シャンテ:引継ぎ ナターシャ:引継ぎ ナビ→フランシス フレンジー:情報募集中 ヘルスJO:情報募集中 リディア寮LOOP:情報募集中 えろり→た:情報募集中 きなこ:情報募集中 くっきー:引継ぎ ナビ→ミランダ げっぱ:引継ぎ すのね:引継ぎ ナビ→リディア つつもたせ:引継ぎ ナビ→リディア なすきのコ:引継ぎ のあ:情報募集中 ひとみ:引継ぎ ナビ→ミランダ ひのえ:キャラをユウに、CNを「ヴェイル」に変更 みゅう:情報募集中 るーふぁす:情報募集中 アローエ:情報募集中 ウナギパイ:引継ぎ エステル:引継ぎ クラフト:引継ぎ ナビ→リディア ロマノフ寮あき:情報募集中 がんでん:情報募集中 こなかな:キャラをユウに、CNを「はるかかなた」に変更 ざらこ:引継ぎ せってい1:引継ぎ ナビ→アメリア だーりあ:キャラをマラリヤに、CNを「うぇんずでい」に変更 ナビ→マロン ななおサン:キャラをユウに、CNを「タイポのかみ」に変更 はっさく:情報募集中 ぽに:引継ぎ まつうらー:情報募集中 もずく:情報募集中 サブゼロ:情報募集中 ユロン:引継ぎ ナビ→マロン
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好きなSS投票 好きなSS投票できます。何を読めばいいのか分からない人はここを見てみると良いかもしれません。 シリーズものの場合、タイトルは一つに統一されています。 五十音順です。 ()はフォーム内に入れられないため、表記から外しています。 下に検索フォームついてます。興味を持ったらタイトル入れて作品にGO! 選択肢 投票 ○○×かがみ (3) 1st STAGE ~ 3rd STAGE (10) 20話うらばなし (1) SH (1) usual days ~ Memories (22) power plant (2) quick master (2) ああっつかさ様っ!! (10) 汗と涙の1025 (10) あなたを・もっと・知りたくて (2) アニメ店長ネタ (2) 姉離れ、妹離れ (2) 雨あがる。その世界 (0) アレをはやした、かいちょうさん (14) 泉こなたが倒せない (6) いもうと争奪戦 (7) ウィークエンドの憂鬱 (7) えむ☆えす~まぞなみなみ・さどなゆたか~ (7) おあつい中で (1) 教えてみゆきさん 貧乳克服編 (7) お弁当 ~ この状況って… (3) かがみの恋、こなたの気持ち (5) かきごおり (1) カラオケボックスの後日談 (0) 感情移入 (0) 記憶喪失 (0) きゃんでぃ・がーる シリーズ (6) グリーン・グリーン (0) 日下部みさおのからかい方 (1) ゴースト・マシン (2) こな☆フェチ シリーズ (16) こなかが長編 (11) こなた強制自慰 (1) こなたの告白コンサート編 (4) ご褒美は笑顔を引き連れて (3) 最後に、一度だけ ~ 契りは、別れへの約束 (9) 佐賀北4強入りおめでとう、そしてがんばれロッテbyななこ (2) 佐賀北高校甲子園優勝おめでとう、あとがんばれロッテbyななこ (0) 桜と共に (3) 寒さ暑さも彼岸まで (1) さよなら魔法使い (4) 実力行使 ~ 性欲発散 (5) 暑中見舞い (2) 好き☆嫌い (2) すじ雲 (1) 攻めのみゆき、受けのみなみ (3) 絶望の方角 (0) そうじろう&ななこ (0) それって好きってことなんじゃ……by笹塚 (1) 誕生日プレゼント (0) チビオタドリンク (2) てけてけかなたさんシリーズ (11) 遠くにある明かり (2) 渚スコープ (4) ヌード (1) 熱中症 (0) 柊家地震ネタ (0) ぶるー・すかい・ぶるー (2) ホーム・スウィート・ホーム (6) ぼけぼけキューピッド ~ ぼけぼけハート (48) 報われない現実 ~ ああ、素晴らしきお泊まり会 ゲーム結果まで (50) 真夏の夜の悪夢 (1) みさおとこなたの百合ごっこ (2) メロディー (7) 結び目が解けるまで (3) 夕暮れの教室で ~ 後日、ゆたかとみなみ (1) ゆに☆すた ~University☆Star~ (9) ラブマイライフ シリーズ (24) 料理「甘い毒入り」 (1) レイニーロジック シリーズ (14) 鷲宮神社は萌えているか (3) ■検索フォームについて 入力した単語を含むページの検索を行えます。 タイトルや文中の表現などを入力することにより、特定の作品を絞り出すことが可能です。 例 こなたにネコミミが生える話ってどれだっけ→検索「こなた ネコミミ」→ウマー 検索から表示したページだと指定単語がハイライトされた状態になっていますので、 最上段の文中リンクから正規のページに移るとハイライトが消え、読みやすくなります。 リンクが間違っていて繋がらず、読めない時も利用すると良いと思われます。 検索 検索
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※このSSはfuku1450の続きというか、アナザーストーリーです。 ※作者の762さん、勝手に設定を使ってしまい、すいません。 その日、フラワーマスターの異名を持つ風見幽香は酷く機嫌が悪かった。 ゆっくりゆうかのせいである。 本当は違うのかもしれないが、ゆっくりゆうかのせいだと思わなければ、彼女はやっていられないのだ。 苛立ちを、近くにいるゆっくりを全て叩き潰す事で僅かに晴らしつつ、幽香はそこら辺をぶらぶらと散歩し続けた。 『ゆっくり後悔し続けてね!』 その数日前。 幽香は、好奇心に満ち溢れた顔で、道を急いでいた。 自分に似たゆっくりがおり、そのゆっくりは花畑を作っていると言われたためである。 花の妖怪である自分に似ているのだから、ゆっくりだとしても花畑を作り出すのは当然という思いから、幽香は道を急いでいた。 ――ここはこの花よりこっちが良いわ。それに、あそこはもっと肥料をあげないと。あなたが肥料になるかしら? ――あぁ、こんな所に肥料をやっちゃダメじゃないの。あなた、本気で花を育てる気があるのかしら? そんな、大量のダメ出しを夢想している幽香は、自分の口が笑いの形に歪んで来ているとは思いもしなかった。 このフラワーマスター、真性のドSである。 ともあれ、幽香は目的の花畑にたどり着いた。 「なにこれ……」 口だけが笑っていた幽香の表情が、驚愕のそれに変わった。 小さい。 いや、ゆっくりが育てると考えると、大きめなのだろう。そもそも、花畑の大小はその美しさに関連はないと幽香は考えている。 種類が4種類しかない。 これも、ゆっくりが育てている事とここの土壌の質を考えると、これが限界だろう。下手に手を加えては自然の美しさが損なわれてしまう。 全体的に肥料が少ない。 ここに肥料をぶちまけようとする者がいたら、幽香によるマスタースパークでチリと化すだろう。肥料はこのままで良い。 そして、美しい。 幽香が驚いてしまうほどに、多数の花が、最も美しく見える様に考え抜かれた配置で置かれている。 その真ん中にいるゆっくりゆうかを見て、幽香はより驚いた。 泥だらけになりながら、本当に楽しそうに、大事な宝物を扱う様に花を慎重に手入れしている。 ――似ているなんてもんじゃないわよ、あれ。 それは、ただ花と一緒に生きられる事だけで嬉しかった、数百年前の風見幽香そのものの姿だった。 幽香は、無言でその場を後にした。 ダメ出しも何もない。ここは、既に完成した花畑である。 確かにフラワーマスターとしての目から見るとまだアラはあるが、それでも、一個の完成しようとしている作品に手を入れる事はできなかった。 その一時間前。 幽香は、何となく面白くない顔で、道を急いでいた。 自分に似たゆっくりが作り続けている作品の果てを見届けるためである。 果てと言っても、マスタースパークをブチ込んで破壊しようという意味ではない。 むしろ、そんな事をしようとする相手に幽香自身のマスタースパークが5発ほど打ち込まれるだろう。 幽香は、一個のまだ荒削りな芸術作品の完成を見届けようとしているのである。 完成後のダメ出しならばいくらでもするつもりだ。自分が手本を見せても良い。何なら連れ帰っても良い。 太陽の畑を、まだ荒削りなその技術で整えようとして何度も失敗を繰り返し、涙を流しながらも何度もやり直すゆっくりゆうか。 そして、叱りつつも段々と成長を遂げていくゆうかを眺めて良い気分になる自分……幽香の脳裏に、そんな未来が現実感を持って迫っていた。 叱る想像をしたから機嫌が直ったのか、笑顔になって更に道を急ぐドS……もとい、幽香。 だから、幽香は途中で5つの饅頭とすれ違った事に気が付かなかった。いや、気が付けなかった。 その数分後。 幽香は、その場に立ち尽くしていた。 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせ~♪」 「こっちもうめぇよ! ゆっくりできるよ~♪」 「ここはさいこうのゆっくりプレイスだね!」 「ちがうよ! でんせつのゆっくりぱらだいすだよ!」 「ゆっくりぱらだいす!?」 「しっているのかみょん!」 「ちちんぽ……ぜんぜんしらないちーんぽ!」 「じゃあなんでしってるみたいなこといったの? わからないよーwww」 饅頭どもの爆笑に包まれるそこを見た時、幽香は記憶違いだったかと思ってしまった。 それほどに様変わりしてしまった元芸術作品の片隅で、幽香はただ立ち尽くしていた。 ――そう。 4つあった花畑は、全てが色とりどりの薄汚い饅頭どもによって食い荒らされていた。 ゆっくりゆうかはいない。どのゆっくりがやったのかは分からないが、恐らくは殺されたのだろう。食われたのかもしれない。 ――あの子は、もういないのね。 「あれ、そういえばあのこたちとめーりんは?」 「しらなーい、まだいじめてるんじゃない?」 「あのこたちもめーりんいじめがすきだよねーw」 「ほんとーw ゆっくりするほうがたのしいのにねーw」 ――『ゆっくり』理解させてもらったわ。 「そういえば、ここをかってにせんりょうしてたゆうかはどこ?」 「ゆっくりこっちにすてたよ! あれ、いないよー?」 「あのこたちがつれてったよ、きっと、ゆっくりたべるんだよ!」 「れいむたちもたべたいなー」 「あとでもらいにいこうね! よにんだけなんだから、おねがいしたらすぐくれるよ!」 食べる。あの子を『四人組』が食べる。 太陽の畑へと連れ帰る予定だったあの子を。こいつらが、食べる。 ――お礼に『ゆっくり』させてあげるわ。永久にね。 幽香の頭のどこかから、ブチンと何かが切れる音が聞こえた。 同時刻、ゆっくりの群れ。 「あのこたちはすごくゆっくりしてるよね! こんなにいっぱいごはんあるところをしょうかいしてくれたんだもん!」 「だよね! ほんとにあのこたちはゆっくりしてるよ! おれいに、みんなでゆっくりしてあげようね!」 このゆっくりの群れは、今、心の底から幸せだった。 たくさんのごちそうがある。たくさんの仲間と一緒にいる。たくさんゆっくりできる。 それだけの状況が揃っていて、幸せじゃないゆっくりなんてゆっくりじゃない。そう思うほどに、幸せだった。 不意に、パチンと手を叩く音が響いた。 それと同時に、何か粉の様な物体が辺りを舞う。 日の光で美しく輝くそれは、ゆっくり達が初めて見るものだ。 「うわー、あれなにー?」 「ゆっくりしてるね! すごくきれいだよ!」 「ここはみんなのゆっくりプレイスだけど、ゆっくりできるこならたくさんゆっくりしていってね!」 キラキラと輝くそれを、ゆっくり達は幸せそうに眺めていた。 また、ぱちんと手を叩く音が響く。 影が、それに応じてゆっくりの群れの方へと近づいてくる。 ゆっくり達は、自分の願いが聞き入れられたと思い、嬉しくなって飛び跳ねた。 「ゆっくりしていっぐびゅぅ!?」 気の早いゆっくりがそれに頬をすり寄せようと近づいた……と思った直後、突然その場でぶるぶると震え出す。 異様なその状況に、群れのゆっくり達はざわざわと騒ぎながら近づいていった。 「どうしたの? ゆっくりしてよ!」 「どこかいたくしたの? ゆっくりすればなおるよ!」 「なんでなにもいわないの? おくちのなかいたくしたの……ゆびゃぁぁぁ!!! なにごれぇぇぇ!!!」 近づいたゆっくり達が、一斉にその場から飛び跳ねて逃げる。 そこに「あった」のは、もうゆっくりではなかった。 真ん中に杭が打ち込まれた様に、みっちりと何かが詰まっている何か。 仲間だったものの目から口から、皮を突き破ってどんどんと成長を遂げていくそれを見て、ゆっくり達の群れは恐慌に襲われた。 「ゆぎゃぁぁぁ!!!」 「なにごれぇぇぇ!!!」 「ごわいよぉぉぉ!!!」 それぞれに泣き叫ぶゆっくり達。 だが、真の恐怖はこれから始まるのである。 「ゆぎゅっ! ……ぺっぺっ! けむいよ! なにこれ!」 「くちゅん! ゆっくりできないよ! くちゅん!」 仲間だったそれは、今や完全に樹木と化している。 それの先端からぶわっと煙の様な何かが撒き散らされ、周囲は大量の花粉に覆われた。 「ゆぎゃぁぁぁ!!! いだい! いだいよぉがぶぅ!!!」 「なにごれ! なにごれぇぇぇぎゃらっば!!!」 「だずげで、ゆっぐりざぜでぇぇぇえひぃぃ!!!」 ばつんばつんと、音を立ててゆっくり達の体内から、柔らかい饅頭の皮を突き破って樹木が生えていく。 ゆっくり達の群れは、ほどなく樹木の群れへと生まれ変わったのである。 フウバイカ 「風媒花。どう? とてもゆっくりできるでしょう?」 ぽつりと、無表情に幽香は呟いた。 風媒花とは、その名の通り風を花粉の媒介として利用する種類の植物である。 虫を引き付ける必要がないために花びらがないものもあり、またあっても目立たず、香りもほとんどない。花と言えるかどうかも怪しい。 「本当、生物としても食物としても中途半端なこいつらにはお似合いの墓標ね」 その一言を残して、幽香はその場を後にした。 その一時間後。 幽香は、無表情に道を歩いていた。 その目は暗く光っており、下手に触れると消滅させられてしまうのではないかと思われるほどの恐ろしさに満ちている。 幽香は、時々立ち止まっては何かを探す様に周囲を眺めている。 本来ならば、どんな奥地に潜むものであろうと、草花ですぐに探し出す事が出来る。 だが、幽香はあえて自力で見つけ出そうとしていた。 頭に浮かぶのは、僅か数日前に見つけた、泥だらけで楽しそうに花の世話をする数百年前の自分の姿。 その頃は、自分はここまでの大妖怪ではなく、花との関係も友達のそれであった。 数百年前の幽香は、花の妖怪ではなく、花の世話をするのが好きなだけのただの妖怪未満の少女であった。 ならば、花を利用して探し出すなどできっこない。 幽香は、道の途中途中で見つけたしおれた草花を優しく癒してやりながら、無表情に道を歩き続けた。 「見つけた」 呟きが、風に溶けていく。 目の前には、やけに楽しそうな四匹のゆっくり達と、一匹の四角いゆっくり。 幽香は、誰が見ても分かるだろう作り笑顔で憎むべき饅頭どもの前に降り立った。 「こんにちは、ゆっくりしているかしら?」 「ゆっ! おばさんだれ?」 「ゆっくりできるひと? ゆっくりできないならさっさとどっかいってね!」 「ありすはとかいはなんだからさいこうにゆっくりしてるにきまってるでしょ!? おばさんばかなの?」 「むきゅーん! ばかなおばさんとはゆっくりできないよ! さっさとどっかいってね!」 「うーうー♪」 ただ笑顔で話しかけただけの幽香にここまでの暴言を吐く四匹のゆっくりと、何が楽しいのか分からないが、ただ笑っている四角いゆっくり。 だが、ここまでの腐れた根性の持ち主が良く生き延びられたものだと感心するのはまだ早いだろう。 もうすぐ、五匹は終わる。完膚なきまでに。 幽香は内心の感情を押し込めて、張り付いた様な笑顔のままで誘いをかけた。 「残念ね。もっとゆっくり出来る場所に案内しようと思ったのだけれど」 「ゆゆっ! ゆっくりできるところならいきたいよ! さっさとあんないしてね!」 「ゆっくりプレイスはみのがさないよ! さっさとつれていってね!」 「いなかものはむだにもったいぶるからきらいよ! でも、ゆっくりできるならいってあげなくもないわよ!」 「むきゅきゅん! ゆっくりできるところならぱちぇもたくさんしってるけど、おばさんのいってるとこはもっとゆっくりできるでしょうね!?」 「うーうー♪」 早く早くと急かすゆっくり四匹をなだめながら、幽香はゆっくりと歩き出した。 後ろからフラフラと追いかけてくるうーパックも、せっかくだから連れて行く。 その方向は、太陽の畑。 その二時間後。 「「「ここがゆっくりできるばしょなの!?」」」 「うー、ううー♪」 太陽の畑。 そこは、ひまわりが咲き誇る幽香の庭であり、故郷であり、砦でもある場所。 四匹のゆっくりにうーパックを含めた五匹は、珍しそうに辺りを眺めていた。 「ええ、あなたたちにはここで永遠にゆっくりしていただくわ」 そんなゆっくり達に、幽香はキラキラと光る何かを振り掛けた。 「ゆゆっ!? このきらきらしたのなに? きれー」 「あまくないけど、きれいでしあわせー」 「むきゅん! これはきんぱくね! きらきらしてきれいだわ!」 「きんぱくくらい、とかいはのアリスはしってるわ! とかいのマナーのひとつだわ! おばさんにしてはわかってるじゃない!」 「うーうーうー♪」 キラキラと光る何かを振りかけられて、うーパックは素直に喜び、四匹のゆっくり達も口調が悪いが嬉しそうにしている。 「本来ならばあなた達には絶対に寄生しない菌類なのだけど、特別にあなた達のために性質を変えさせてもらったわ」 嬉しいでしょう? と微笑む幽香に、ゆっくり達は大喜びで跳ね回りだした。 「ありがとう! じゃあ、おばさんにはもうようはないからゆっくりどっかいってね!」 「ゆっくりしたかったらべつのところでしてね! ここはまりさたちのゆっくりプレイスだよ!」 「ここはとかいはのアリスたちのゆっくりプレイスにしてあげるわ! ありがたくおもいながらどっかにきえなさい!」 「むきゅ、にんげんがいたらゆっくりできないから、さっさときえてね!」 「う、ううー?」 豹変する仲間についていけないのか、オロオロとしだすうーパック以外のゆっくり達が口々に出て行けと叫ぶのを聞いて、幽香は穏やかに頷いた。 「分かったわ、じゃあ、私はこれで失礼させてもらうわね。あなた達は、永久にそこでゆっくりしていきなさい」 じゃあね、と口の端のみに浮かべた笑顔を残して消える幽香。 「ゆぎゅっ、きえちゃったよ!?」 「にんげんはゆっくりしてないね!」 「むきゅ、これはてじなね、あのおばさんはマジシャンなんだわ」 「ま、まじしゃんくらいはとかいのじょうしきよね! もちろんアリスもおせわしてあげたわ! あのおばさんもアリスをそんけーしてるはずよ!」 ゆっくり達は目の前からいきなり消失した人間に少々面食らったが、ゆっくりできるのだから言う事はない。 お腹が空いたらそこら辺にあるひまわりをかじれば良いし、この辺りには危険な捕食種もいない様だ。 ゆっくり達は、思い思いにゆっくりし始めた。 うーパックはまだオロオロとしていたが、仲間がゆっくりしているのを見て、一緒にゆっくりしたくなったようで、大人しく近くに羽を休めた。 その二時間半後。 「「「ゆっくりしていってね!」」」 ゆっくり達は、ゆっくりするのにもう飽きたらしく、跳ね回って遊んでいた。 「ゆっくりたのしいねー!」 「すごくゆっくりできるよ! さすがまりさたちのゆっくりプレイスだね!」 「むきゅ、ゆっくりできるね。おばさんにごほんもってきてもらえたらもっとゆっくりできたんだけどね。きがきかないわねあのおばさん」 「パチェはほんだいすきなゆっくりだからね! とかいはのアリスは、ほんがなくてもゆっくりできるよ!」 「むきゅ、ただのうてんきなだけよ。アリスは」 「アリスはどっかのゆっくりと『ゆきずりのすっきり』ができたらいいんだもんね! ゆっくりしようよwww」 げらげらと笑い合うゆっくり達。 その様子をのんびりと見守っているうーパックは、ゆっくりしているためか、自分の体内に不思議なかゆみが出てきた事に気付けなかった。 それが、自分の生命を左右するとも知らずに。 その三時間後。 「うー……うー……うぐっ!」 「ゆぎゅ!?」 「ゆあっ!?」 「あぎゃ!?」 「むぎゅ!?」 びくんと、五匹同時にその場に立ち止まった。 異常な何かが、物体となって自分の内側からどんどんと膨れ上がっていく感触。 おぞましいその感覚に、五匹は身を震わせた。 「おばざん! まじじゃんのおばざん! なんがへんだよごれぇぇぇ!!!」 「なにごれ、ぎもぢわるいぃぃぃ! おばざん、ざっざどだずげでよぉぉぉ!!!」 「ぎもぢわるいぃぃぃ! ぎもぢわるいよぉぉぉ! どがいはになんでごどずるのぉぉぉ!!!」 「むぎゅ……きぼぢわどぅい……げほっ、エ”ホッ! ばぎぞうだよぉ……」 「うぐぐぐ……うー! うー! うー!!!」 いくらもがいても、自分の内側から膨れ上がってくる感触が押さえられない。 四匹は、泣き叫んで様々な者に助けを求めた。うーパックは、感触を少しでもどうにかしたくて、ただただ暴れまわっている。 「「「おばざん! おがーぢゃん! ……ぐずめーりん! ざっざどだずげろ!!!」」」 ゆっくりめーりん。ずっとバカにしていたそいつは、先ほど自分達の手で二度とゆっくり出来なくした。 だが、そんな事もアンコ脳には残っていないのか、ゆっくり達は延々と文句を喚き続ける。 「なにゆっぐりじでんのよぉぉぉ! ざっざどごっぢぎでだずげろばがめーりん!!!」 「おまえにやれるのはぞれだげなんだがら、まりざだぢのやぐにだであほめーりん!!!」 「ありずのがわりにいながもののおまえがどうにがじろまぬげめーりん!!!」 「むぎゅ……いらないごっていわれだぐながっだらざっざどだずげにごいぐずめーりん」 口々に怨嗟の声をあげるゆっくり達の目はにごり、もうどれだけの愛好者であってもこんなゆっくりだけは愛せないだろうと思えるほどに醜かった。 そんな中、症状の重かったうーパックが、凄まじい悲鳴を上げた。 「うぎゅあぁぁぁぁぁ!!!」 「「「ゆ……ゆぎゃぁぁぁぁぁ!!!」」」 がくがくと震えるうーパックの口から目から、様々な場所から、黒色の植物の芽の様なものが次々にはみ出してくる。 そのおぞましい光景に、ゆっくり達は悲鳴を上げる。 だが、慌てて口を閉じ、目を硬くつぶった。 いつ、自分からもあの芽が伸びてくるかわからない。それを考えると、目を開ける事も口を開く事も恐ろしかった。 「無駄よ、それはあなた達の体を突き破って出てくる。口を閉じようが目を閉じようが結末は何も変わらない」 不意に、近くからニンゲンの声が聞こえてきた。 その声が先ほどのマジシャンだと分かったまりさは、即座に口を開いて抗議しだした。 「おばざん! ざっざどまりざだぢをだずげでよ! おばざんがごごにづれでぎだんだがら、おばざんがなんどがじろぉぉぉ!!!」 抗議と言っても、ゆっくりではダダをこねる程度の事しか出来ない。 幽香は、笑顔で一言だけ答えた。 「あなた達を助ける気なんて毛一本ほどもないわ」 更に何か言おうとしたまりさの口から、数本の芽が飛び出してくる。 まりさは、文句を言う気など消えうせ、芽が様々な場所から生えだそうとするその感触を耐える事しか出来なくなった。 四匹のゆっくり達は、完全に寄生植物の宿主と成り果てたのである。 トウチュウカソウ 「冬虫夏草。あなた達に植え付けたのは、そういう名前の植物よ」 あえぐゆっくり達に対して、無表情なままの幽香は、独り言を漏らす様に告げた。 冬虫夏草とは、虫や植物に寄生して成長するタイプの菌類……キノコやカビなどの一種……である。 普通の冬虫夏草ならば、ゆっくりに寄生する事はありえないし、宿主を殺してから成長するのだが、これは幽香の特製である。 このゆっくり達は、もう死ぬ事も動く事も出来ず、冬虫夏草の奇妙な茎部分としてこれからずっと生き続けるのだ。 「あなた達に潰された草花の気持ち、そこでゆっくり理解すると良いわ」 じゃあ、さよなら。一言だけ残して、幽香はその場を後にした。 「まっでぇぇぇ! ゆっぐりざぜでよぉぉぉ!!!」 「おば……おねえざんんん! まりざだげでもだずげでよぉぉぉ!!!」 「ありず、いながものでいいでずがらだずげでぇぇぇ! おねがいでずぅぅぅ!!!」 「むっぎゅー!!! ばぢぇじんじゃう! ほんもよめないごんなどごじゃじんじゃうぅぅぅ!!!」 「うぎゅ……うー……」 五匹がそれぞれに境遇を嘆くその姿を、ひまわりがあざ笑うかの様にゆらゆらと揺れながらただ眺めていた。 花を食べたゆっくりは花に仕置きされるという事で、幽香りんにいじめてもらいました。 このゆっくりは、うーパックも含めて永久に苦しみ続ける事でしょう。 by319 このSSに感想を付ける
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ゆっくりと人間の続編に当たります。 言われる前に言っとくぜ!!テンプレ乙パクリ乙 一面に広がる野菜の群れを見渡して、その青年は概ね満足していた。 小作人たちからの報告では今年の野菜は皆順調に育っており例年にない豊作になりそうだ。 という報告を受けている。 実際この大地主も小規模ながら自分で畑を耕しており、その野菜の出来は今までに無いほど すばらしい出来なると確信していた。 とはいえ、小作人からあがってくる報告には気になる報告もいくつかあった。 ゆっくりによる被害である。 その報告書によれば、10匹規模のゆっくりによって地主の管理下の畑を襲撃されたとの事である。 しかし、その被害は野菜を2,3個駄目にされた程度で襲撃というにはいささかお粗末なものであった。 にも係わらず地主がその報告に注目したのはゆっくりの群れが森の近くにあるかもしれないという懸念である。 幸いにして今までこの村では野生のゆっくりには縁が無かった。 しかし、群れの中にドスが居るとなると非常に厄介である。 話によれば武力による条約を結ばされることも有るそうな。 この村は村と冠するのが不適切なほど規模が大きく、念と為簡単ではあるが 軍備的なものも備えている。 (ただ饅頭ごときに動かすのもなぁ、それにただでもないし。) と様々な状況を考えながら、取りあえず襲撃していたゆっくり共は捕獲されたらしいので 話を聞きに地主は足を進めた。 ここで時間を2週間ほど遡らせていただく。時間は真昼、肌寒さを感じさせながらも 太陽が万遍に降り注ぎ非常に心地の良い。目の前には一面の畑があり、全ての畑で野菜が青々と茂っている。 ここを耕している小作人・鬼意さんはその出来栄えに満足していた。 そして、ここで手を抜いてはならぬと畑を見回って虫が居ないかなどの整備をしていた。 畑の整備も終わり、昼ごはんでも食べようかと思っていると視界の端でこの村ではあまり見かけない 物が愚かにも鬼意さん畑に近づいているのが目に入った。 れいむは涙した。目の前に広がる一面の野菜。これだけあれば越冬の心配をしなくていいどころか、 一生狩すら行かなくていいかもしれない。 そんな愚かな妄想をしながら、その饅頭の一団はゆっくり種特有の傲慢さを持って あるいは勘違いをもって宣言した。 「ここをれいむたちのおうちにするよ!ゆっくりしていってね!!」 「むきゅ。すごいかずのおやさいさんだよ。たべきれないよ。ゆっくりしていってね!!」 とほざいているのは長であるれいむを補佐していた参謀役であるぱちゅりーである。 他にも数匹―割合的にれいむ種が2匹,まりさ種が1匹、ぱちゅり1匹、ちぇん1匹―を伴って わかるよーだかゆっくりしていってねだとかこのやさいさんはまりさのものなんだぜとか 好き勝手のたまっていた。そして皆今までの疲れを忘れたように喜び勇み畑へ駆けていった。 この旅はけして簡単なものではなかった、群れの皆に心配をかけないように秘密裏に群れを出発した。 当初は10匹いた仲間たちも半数まで減っていた。しかしたどり着いたのだ。困難を乗り越え れいむたちは・・・!!これでれいむたちの繁栄は約束されるだろう!!永遠に!! そして畑に入り込み野菜を食べようとしたその時、信じられない程大きな物体ーれいむには物体 としか認識できなかったーがれいむの頭をつかみ持ち上げた。 「ゆぅ?ゆぅーーーー!!」 「驚いたなぁ。ここら辺のゆっくりはいなくなったと思ったんだけど・・・。まぁいいや。」 驚くべきことにこの村では今までゆっくり達による被害にあったことが無かった。なぜならこの鬼意さんが村周辺のゆっくり 達を皆殺してしまったのである。ちなみに鬼意さんの家の地下―自力で作り上げた―にはその時に捕獲したゆっくり達の 子孫がたくさん存在している。 「で、お前らここでなにしてんの?」 男はつぶれない程度にれいむの頭に指を食い込ませる。 れいむの頭皮がみちみち音を立てて、今にも男の指が皮を突き破りそうである。 「ゆ、ぐぐぐ・・・なにするの!おにいさんれいむのみつけたおやさいたべさせてね!!」 「はいはいゆっくりゆっくり。」 そう適当に相槌を打つと、他のゆっくりが野菜にかじりついているのが目に入ってしまい男は頭を抑えた。 野生のゆっくりは農耕という概念を知らない。ここで理解させてやってもいいが時間もかかるし、万が一人が通りようものなら 白い目で見られかねない。 「うっめ、むっちゃうめぇ!!」 そう喚きながらまりさ種が意地汚く野菜を食い散らかしている。犬だってもう少し行儀よく物を食べるものだ。 他のゆっくりどものしあわせーだのうめぇだの喚きながら野菜にかじりついていた。 あまり大人数で押し寄せてこなかったことは不幸中の幸いと思いつつ男は一番近くにいたまりさの頬を思い切り踏み抜いた。 「うっめ、うっmぎゃぁぁぁぁあああ゛あ゛あ゛!!」 まりさの頬から餡子が大量に噴き出した。 「ばり゛ざにな゛にずるの゛ぉぉぉおおお!!!」 その尋常でない叫び声に野菜にがついていた他のゆっくりたちも何事かと振り向いた。 その様子を見た他のゆっくりは一斉に男に向かって罵声を浴びせかけ、体当たりをはじめた。 「じねぇぇぇええ゛!!じじいはゆっぐりじねぇ!!!」 「むきゅぅぅぅう!!」 「わからないよー!!わからないよぉぉおお!!」 各々思うがままの雄叫び(?)をあげ、男に体当たりを仕掛ける。当たり前だが男には微塵も効いてはいない。 絶望的な戦力差に気づきもしないでれいむとちぇんは 「じね゛ぇ!!ばりざをいじめたじじぃはじねぇ!!」 「わかるよー!!わかるよー!!」と体当たりを続けている。 ぱちゅりーは攻撃に参加したのは最初の一撃のみで後は ―体力の限界なのか二匹で十分に倒せると思っているのか― 「けほっ・・・、むきゅ!きいているわ!もうすこしでたおせるわ!!」 などと後方で応援に回っている。 頬を踏み潰されたまりさは「ばりざのがわい゛い゛お゛がお゛がぁぁぁあああ゛あ゛」 と喚いている。 男の手につかまれている長れいむは勇敢な仲間たちを見て勝利を確認した。 そして最終通告を男に言い渡した。 「ゆっへっへ。こうさんするならいまのうちだよ!しにたくなかったら、れいむたちのゆっくりぷれいすからでていってね!!」 当然、この長れいむこれで男を許すつもりなど無かった。しかし今この状況はれいむにとって不利である。したがって圧倒的な武力を利用し拘束を解き、れいむもすぐに攻撃に加わるつもりでいた。 しかし、男はそんな饅頭どもを無視し周りに他のゆっくりが居ないか確認した。 「こいつらだけか。ま、いいや他に居るかどうかは後でこいつらに聞きゃいいか。」 そう呟くと足元に体当たりを仕掛けているれいむを捕まえて持ち上げた。 「ゆゆ、おそらをとんでるみたい」 悲しきかな餡子脳、今まで自分が何をしていたのかそして今どういう状況にあるのかを一瞬にして彼方へ忘れ去ってしまった。 そして次の瞬間男はそのれいむを―死なない程度に―地面にたたきつけた。 「ゆべぇ!!ゆっゆっゆっ・・・エレエレエレエレ」 「おお、弾む弾む。」 たたきつけられたれいむは2,3回地面を跳ねてその場で餡子を吐いて痙攣し始めた。 一瞬の静寂。ゆっくりたちは目の前で何が起こったか理解できずに、男は次にどのゆっくりを選ぼうかと品定めをして。 一泊遅れてゆっゆっゆっと痙攣しているれいむの泣き声だけがあたりを支配していた。 「よし、次は君に決めた。」 そういうと足元で呆然としているちぇんのしっぽをつかみグルグル回し始めた。ここにきてゆっくりたちは弾かれたように騒ぎ出した騒ぎ出した。ここに来て初めて目の前の生き物が自分より強い(その認識も大分程度の問題というところで間違えているのだが)ということを認識したのである。 「わ゛がだな゛いよ゛ぉぉぉぉぉおおお゛。」 ちぇんはそう叫びながらグルグル回っている。それをみてぱちゅりーは 「むきゅー!!やめてあげてぇぇぇえええ!!げほっげほっげほっエレエレエレエレ」 むせたのか、残酷な(?)光景に我慢できなくなったのか餡子を大量に吐いて倒れてしまった。細かく震えているので 死んでは居ないだろう。 「そろーり。そろーり。」 まりさは頬から餡子を垂れ流しながらその場から逃げようとていた。 今の戦力ではこの人間にはかなわないと判断したまりさは群れに戻って態勢を整えてもう一度戻ってこようと決心した。 その判断は奇跡的に一部分だけ正しいと言わざる得ない。 (ゆぅ・・・!もっといっぱいのかずでせめるよ!つぎはあやまたってゆるさないよ!!) しかし、このまりさはいくつか思い違いをしていた。 まず第一に、群れ全員で攻めたところで人間にはかなわないこと。 次に今回の被害は単に自分たちの油断から招いたことであるという勘違いをしてること。 3つ目に今の状態のまま逃げても群れにたどり付く前に餡子が大量消失で死ぬであろうこと そして重大な勘違いは・・・ 「お前それ何のつもりだよ・・・。相変わらずお前らの行動は理解できねぇなぁ・・・。」 そういうと、男はつぶれない程度にまりさを踏みつけた。 男は左手に長れいむ―男の指がれいむの皮を少し裂き餡がもれ始めている―右手に回しすぎで既にぐったりしているちぇんのしっ を掴み右足でまりさを踏みつけているという一種異様な状態になっていた。 「な゛んでぇぇぇええええ゛え゛!!な゛んでばでだのぉぉぉおお!!!」 「それはねーまりさが馬鹿だからですよー」 「ばりざはばがじゃないぃぃぃ!!」 「ははは、これからまりさじゃなくてお前ばかさな。お前にぴったりのいい名前だろ?」 そういうと普段農耕具などを入れるかごに長れいむ、ちぇん、まりさ、そして痙攣して伸びているれいむ、ぱちゅりと 入れていった。 ―――――重大な勘違いは人間から逃げれると思っていることである。 続く ・・・ばかさはねぇよ・・・ このSSに感想を付ける
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トラップ なし Candy・スキル(発見後、自動入手) Candy袋(10Candy) 商売魂 出現アイテム コイン 誰かの落としたアドレス帳 不死鳥さんの羽 ふしぎなむしめがね 素材の種 ぽろっく バイトのフェアリー かたずけフェアリー ねぶくろ ぷれいぶろっぐ 見習いレシピ 戦士のレシピ 達人のレシピ 消えない炎 残された夢タマゴ 命のリンゴ ウサコウぬいぐるみ(ホワイト) パッピィーぬいぐるみ(ホワイト) ウサジェルの羽根 パシュジェルの羽根 不思議な草 捨てられたぬいぐるみ 捨てられた人形 不思議な粉 クーシーの好きな骨 ダンボール箱 どこなんだ共和国ガイドブック ミルク どこでもキャンデー どこでもおにぎり どこでもカエル どこかひとつめゼリー ミッチ~のリンゴ パッピィーの奢ってくれたラーメン ウサコウのお団子 ネコムッシーのひめリンゴ どこでもティッシュ どこなんだ切符(使用済) どこなんだ切符 リンゴのテレビ ミッチ~の散歩通地図 姫君からのキス ゴミ箱 大きなゴミ箱 リンゴ料理レシピ① リンゴ料理レシピ② リンゴ料理レシピ③ 新鮮トマトのスパゲッティーのレシピメモ 青リンゴサラダスパゲッティーのレシピメモ
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16スレ目 125 128 「ということで、まりさが先に好きな方を選ぶといいよ」 優しいお兄さんは、ゆっくりまりさに選択の権利を与えた。 お兄さんが用意した遊び道具は二つ。 ひとつは玩具の拳銃。もうひとつは弓である。 もちろん、ゆっくりであるまりさには、このふたつが何かはわからない。 「さっきも説明したけど、この武器を使っての狩りゴッコだ。ルールは――」 「わかってるよ! さきに『こうさん』っていったほうがまけだよ!」 「そうだね。よく覚えていたね」 「おにいさんばかなの? そんなことにかいもいわなくてもわかるよ!」 まりさの“馬鹿”発言に対し、お兄さんは怒りを覚えることは無い。 ゆっくりにもわかるように、ルール説明は簡潔におこなった。二回ではなく何度も。 だから、ゆっくりが話を理解したのなら、それは望むべきことであり、怒ることではない。 「それじゃあまりさはこっち!」 まりさは迷うことなく弓を選んだ。 この弓は、ゆっくりにでも使えるようにと、お兄さんがサイズと重量を考慮した手作り。 竹を割り、火であぶってしならせ、日用道具屋で買った合成繊維を弦に使った一品。 「それはお兄さんの手作りなん――」 「ゆっ!!」 選ぶと同時、まりさは、口にくわえた弓で、お兄さんの脚を叩いた。 人の話など聞いてはいない。 「ゆっ! ゆっ! ゆっ!」 まりさの掛け声、それともうひとつの音、 ばしばしとお兄さんの脚を弓で連打する音が響く。 「……まりさ?」 ばしばしとお兄さんの脚を弓で連打する音が響く。 返事がないようなので、お兄さんはもう一度まりさに声をかけた。 「じゃましないでね!」 が、返って来たのは抗議の声だけだった。ばしばしという音は続く。 「うん、そうじゃなくてね」 そう言われてもなお叩き続けたまりさであったが、煩わしくなったのか、 呆れたような表情を見せた後、弓を口から放し、叩く作業を一時中断させた。 そして、まりさは親が子どもに語るように、 「わからないおにいさんだね! だんまくはぱわーとりーちだよ! ゆみのほうがつよいよ! じょうしきだね!」 そんなことも分からない馬鹿なお兄さんは、その小さくて軽い拳銃で戦うといいよ、と見下した態度。 「そうじゃないんだ、まりさ。それもあるけど、約束した開始の合図がまだだね?」 「ゆ!? じゃあさっさとしてよね! おにいさんはほんとうにぐずだね!!」 そうだねとお兄さんはうなずく。じゃあ合図をいくよ。 「ゆっくりしていってね!!!」 取り決めてあった開始の合図、一人と一匹の声が同時に響いた。 直後、その余韻を打ち消すが如く、ばしばしとお兄さんの脚を弓で連打する音がする。 「おにいさんゆっくりしていってね!!!」 「ていこうはむだだよ!」 「まりさがすっきりするまでおにいさんぎぶあっぷしないでね!」 言いたい放題である。 それ以外の時は弓をくわえ、お兄さんのに叩きつける。マイペース。 お兄さんはお兄さんで、 「うん。ゆっくりしているよ」 と暢気に石を椅子代わりにして座り、玩具の拳銃をいじりながら、空を見上げている始末。こちらもマイペース。 いい天気だ。夏の陽射し、夏の風。 寺子屋に通う子供たちは、仲のいい友達と集まって、森や川へと冒険に繰り出しているのだろう。 そんな彼らの笑い声と夏という季節が、お兄さんを少年時代の遊びへと駆り立てた。 いい天気だ。お兄さんはそう思いながら、胸ポケットに入れた小さな紙箱を取り出す。 『カネキャップ弾 8連発×12リング 入り』 取り出した箱にはそう書かれていた。もっともゆっくりは字が読めないので関係のない話ではある。 まあ、読めない以前に、お兄さんが行った動作に対して、まりさは露ほどの注意も払ってはいなかったのだが。 ばしばし ばしばし ばしばし ひたすらに弓での打撃を繰り返す。 お兄さんのことなど関係ないと、ゆっくりまりさはマイペース。 このゆっくりは、自分に危害がおよぶなど、カケラも考えていない。一方的な攻勢しか信じていない。 これは決して驕りではなく、まりさにその想像力が欠如しているためだ。 ゆっくりブレイン――誰がゆっくりを責められようか。むろんお兄さんに責める気は欠片も無く、 ばしばし ばしばし ばしばし 単調なBGMを耳に、お兄さんは箱からリング状のモノを取り出し、玩具の拳銃にはめる。 ああ、なんて懐かしい感触だろうか、童心に―― 「おにいさん! まりさはそろそろつかれてきたよ! さっさとぎぶあっぷしてね!!」 パンッ 「!?」 突然の軽い烈音。ゆっくりまりさは、それに身をすくませ弓を落とす。 「…………」 音の発生源は、お兄さんが手に持った玩具の拳銃。音だけの拳銃。 その拳銃が火薬を炸裂させた音だ。拳銃から薄く煙が立ち上り―― 懐かしい匂いが、中断させられた過去の記憶に浸る行為を再開させる。 ……とはいえ、その記憶に浸っている場合でもない。 ので、目の前で固まったままのゆっくりに声をかけた。 「ゆ? ……ゆゆ! びびびびび、びっ゛ぐり゛ー!!!」 「やや、まりさを驚かせてしまったね」 いきなりだったけど、そんなに驚くとは思わなかったんだと言い訳だけを述べる。 「まりさをおどろかせたつみはばんしにあたいするよ! ゆっくりできないおにいさんはしんでね!」 「今、死ぬのは嫌だなあ……」 「じゃあゆっくりしんでね!!!」 「それも困るなあ……」 少しも困ったような表情ではない。 その表情に、まりさは(生意気にも)不快感を覚えたが、お兄さんは拳銃握ったまま手放さない。 さすがのゆっくりブレインでも、あれが音の発生源だとわかる。 まりさを驚かせた失礼な武器だ! 「でもまりさのぱーふぇくとゆっくりぼでぃはきずつかなかったけどね!」 ゆふふんとその場にのけぞる、まりさ。まんじゅうが転がったようにしか見えないが、 (胸を張っているつもりなんだろうか?) 訊ねる気はないので、そういうことにしておこうと、お兄さんは雲を仰ぎみながら思う。 あの雲、龍みたいだなあ。そういや子供の頃にも似たような形をみたなあ。あの時ははしゃいだっけか。 ああ、本当にいい天気だ。 「おにいさんのぶきはへなちょこだね! がっかりうえぽんだね!!」 「そうかい」 この玩具の拳銃と弾は、駄菓子屋が減ってからというもの、一部の土産物屋などでしか見なくなったものだが、 最近は100YENしょっぷなどで気軽に手に入るようになり、お兄さん的には嬉しい品であった。 「でもまりさはかんだいだからこうかんしてあげるよ!」 「……どういうことだい?」 さきほどまでディスっていた品を交換するという提案に対し、当然の疑問を返す。 「ゆゆ! ほんとうにばかだねおにいさん!」 「そうかい」 「そうだよ! あたまがかわいそうなおにいさんにおんしゃだよ! びゅーてぃふぉーまりさがこうかんしてあげるよ! そのがっかりうえぽんとまりさのごーじゃすうえぽんをだよ!」 よかったね! もっと感謝してよね! とこちらの答えを聞かずに武器を交換する気だ。 現にこっちの拳銃をくわえて引っ張り自分の物にしようと奮闘中。 片手とはいえ、人間の力には勝てず、奪えないでいるが。 ああ、弓に飽きてきたのだな――とは欠片も思わない。……ことにした。 鼻息荒く挑むまりさから発せられる、生暖かいナニカがお兄さんの手の甲に当たる。 鼻息荒くと雰囲気重視で表現したものの、実際は鼻息ではないだろう。 ゆっくりの鼻などみたことがないし、第一鼻息をかけられては気持ち悪い。 「なにしてるの! はやくぶきをすててね!! のろま! ぐず!」 何故か罵られた。まりさ種は特に口汚いというが、度が過ぎる気がしないでもない。幻聴だろう。 幻聴なら無視しても良かったが、生暖かい不快な何かが手にかかるのは事実らしく……。 まあゆっくりまりさが、そうしたいというのならと、お兄さんは快く交換に応じる。 拳銃を渡したところで害はないだろう。玩具であるし、音がするだけ、弾は出ない。 ……ひょっとすると火薬の爆発で火傷をすることがあるかもしれないが、変な使い方をしなければ大丈夫だ。 「一応、注意しておくよ。これには火薬が――」 親切心からの言葉の途中で銃はひったくられた。 相手はゆっくりであるからして、こういう事は既にわりきっている事と、続きを告げる。 「ええっと、キミ達は口を使うだろうから――」 「ゆっ!!!」 弓が綺麗な弧を描いて、飛んだ。 ――そうそう、今の弓をくわえて投げたみたいに、口を使うから……。 「ゆっゆっゆ~♪ おにいさんのぶきはあっちだよ! ゆっくりひろってきてね!!」 笑顔のまりさ。 お兄さんは先ほど同様、笑顔ではなく無表情。 まりさはそれを面食らっている状態だと、ゆっくりブレイン的に解釈し、より一層の笑顔をみせる。 爽やかとは程遠笑みだ。夏だというのに悲しい話だ。 「わかったよ、まりさ。でも銃の使い方は分かるかな?」 「ゆゆ!? ばかにしてるの!? まりさをばかにしてるの!?」 「してないよ。で、分かるのかい?」 「おとがなるよ! じょうしきだよ!」 さっき見たからわかるよ! とまりさ。 お兄さんは空を眺め――そして、まりさに視線を戻した。 「鳴らし方は?」 「そんなこともわからないのおにいさん! ばかなの? おにいさんほんとうにばかなの?」 うんうんと、お兄さんは三度頷き、 「わかるんだね」 「わかるわけないよ! さっきみたばっかりだよ!? おにいさんがばかななのはゆっくりりかいしたよ!!」 「なるほど」 お兄さんも理解した。 「さっさとつかいかたをおしえてね!」 お兄さんは、まりさに拳銃の構造と使い方を教えた。時間は30分とゆっくりめにかかった。 銃を持って説明すれば早かったのだが、まりさが嫌がった。 自分のものだという意識があるのか、それとも相手に武器を渡したくないからなのか。 それに加え、距離を置いて説明させられた。おかげで部品の説明が面倒だった。 遠くで説明するのなら、ついでに弓を拾っていいかい? とお兄さん側から訊ねてみたが、 相手が武器の性能を把握している間に、もう一方が準備するのは卑怯だと罵られた。 ので拾うのは止めた。 そなこんなで30分。 半分近くが内容の繰り返しで、もう半分がまりさの罵声だった30分間。 お兄さんは笑顔ではなかったが、怒った顔でもなかった。 ただ最後に、火薬で火傷する危険性を、まりさに教えておくべきだと思い、火薬の詰った新品のカネキャップ弾を1リング取り出して―― 踏みつけた。 「!!!」 複数の烈音の後、お兄さんは爆発した火薬で黒ずんだ靴の裏を見せる。 「こういう風になりたくなければ、銃をくわえちゃ駄目だよ?」 お兄さんは体験派だったが、実演ですませる場合もある。 再び火薬の炸裂音で固まっていたまりさであったが、復帰するとさっそく銃を使おうと動き出す。 お兄さんは、言うべきことは言ったと、弓のほうに歩いていきながら、 ――あ、まりさはアレが音しか出ないことを、最後まで理解していなかった気がする。 と思ったが、まあ大丈夫だろうと、意識を切り替えた。まりさだし。 「ゆ! ゆ! ゆ! ゆっ! ゆっっ! ゆ~~~~~~っ」 まりさは、顔を真っ赤にしながら(……顔ってどこまでだ?)、舌を必死に伸ばしている。舌で引き金を引くつもりだ。 頑張れまりさ。とお兄さんは心の中で応援する。弓を拾うついでに。 玩具の拳銃とはいえ、舌で引き金を引くのは難しいだろう。頑張れまりさ。 火傷するかも、と釘をさしているので、口でくわえる事も、のしかかって抑える事もせず、銃は地べたに置かれている。 つまり、まりさは純粋に舌“だけで”で引き金を引かなくてはならない。ますます頑張れまりさ。 「ゆ~~~! ゆ~~~!」 引き金を舌で引くために、試行錯誤するまりさは頑張っているといえる。 今なんか横にごろりと転がりながら、地べたに向かって舌を伸ばしているではないか。 うわぁ 傍から見て、実に滑稽な姿。そんな事を意に介さず、事に挑んでいるのが、まりさだ。 頑張っているじゃないか。とても真似できないよまりさ。頑張れ。と、お兄さんは心から思う。 まりさはゆっくり頑張っているようなので、お兄さんは弓の近くに落ちていた枝を物色し始めた。 「ゆ! ゆ! ゆ! ゆっ! ゆっ!? ゆ~~~っ!」 今度のBGMは、さっきより五月蝿いが、脚から聞こえない分、多少は心地よい。頑張れまりさ。 ふと疑問が湧いた。 まりさは舌を伸ばし続けているわけだけど、つったりしないのか? というか、ゆっくりの舌はつるような構造なのか? そこら辺で、お兄さんはその思考を切り止めた。そういうのは学者の仕事だ。 お兄さんはお兄さん。お兄さんが今すべきことは、狩りゴッコ。どきどき童心タイム。 拾った枝の中から、いい塩梅にまっすぐなものを選び、弦につがえ―― 「まりさー」 「なにおにいさん! じゃましないでね!!」 射った。 躊躇い無く放たれた矢の代わりの枝は、まりさの真横に落ち、軽く跳ねた。 純粋な矢でないこと。水分の少ない軽い枯れ枝を選び、加工もしていないのだから、こんなものだ。 だが故意に外したとはいえ、射られた相手はたまったものではない。ゆっくりならなおのこと。 「――っ!? なにするの!? あたったらあぶないよ!」 「危ないね、まりさ。でもちゃんと外しただろう?」 というか、あれだ。まりさはゲームのルールを覚えているのだろうか。 いや覚えてはいるのだろう。ただ、相手に攻撃されるという事柄が、無条件にないと思っているだけで。 あるいは、ゆっくりブレインのメモリは貴重であり、非ゆっくり的な事柄は登録されていないのか。 実にどうでもいいことなので、結論だけにした。 「まりさは幸せなゆっくりさんだなあ」 「なにいってるのおにいさん! それにいまのははずれたっていうんだよへたくそだね!」 頬を膨らませ、ぷんぷん怒ってはいても、ゆっくりとは幸せなモノらしい。哲学的だ。 「うんじゃあ外した」 わざとだ。 「ぷんすぷんす! おにいさんさっきからふかいなふいんきをだしてるよ!」 「そうかい」 「ゆっくりはんせいしてね!!!」 「雰囲気か、難しいことを言うよね」 「はんせいしてないよ!」 「そうかい」 「そうだよ!」 そうなのかー、と両腕を外側にして水平に伸ばすことはしなかった。 はいはい、わろすわろす。平静を保って、魔法の呪文を心で唱える。わりとオススメだ。 「あとひきょうだよ! じゅんしんなまりさをだましたね!」 「……騙した?」 何か騙すようなことがあっただろうかと、お兄さんは首をかしげる。 卑怯なこともした覚えがない。ひょっとすると先ほど枝を飛ばしたことだろうか? その線もない。何故なら一声かけた上で、あまつさえ外すように射ったのだ。 「ふいうちしたよ!」 まりさの意外な発言。お兄さんは純粋に驚いた。不意打ちって言葉を知ってるのか。言ってるだけかもしれないが。 「ゆみのつかいかたもうそをついてたよ! しんでわびてね!」 「死ぬの?」 「さっきのやりかたをおしえてからしんでね!」 ゆっくりの言うことは複雑だなあと、このことを寺子屋の子供達に教えてあげれば、夏休みの宿題にするだろうか? しないか? そのことは後に回すとして、お兄さんは目の前にいる、ゆっくりまりさに弓の使い方を教え始めた。 もちろん、弓の使い方を知っているって言ったよね、とは言わなかった。 弓の使い方を教えるのに、さほど時間はかからなかった。 拳銃の使い方を教えるのに比べて、だが。 使い方を教えた相手といえば、聞くだけ聞いたとばかりに、話の途中で動き出した。 枝を数本と弓をくわえ、スリーステップでお兄さんとの距離を取る。 賢く機敏なまりさは、ノロマなお兄さんの隙を見事についたのだ。 ――というつもりなのだろうと、お兄さんは慣れた表情で、ゆっくりまりさの次の行動を待った。 まりさは、いそいそと枝と弓を足元(……足?)に置き、ふぃーと一息を付いた後、 「おにいさんばかだね! ぶきをてばなすだなんてのうがゆっくりしすぎだね! ばかだね!」 「かしこいまりさはこのゆみでおばかなおにいさんをやっつけるよ!」 勝利宣言のようなものをした。 ……しかし、たかが3歩跳ねただけで一息つくのか。あ、機敏に動いたからからなのか。気分の問題かな。 まりさの恐るべき勝利宣言を前に、お兄さんは自分にとってどうでもいいことを、ゆっくりと考えていた。 その無防備な姿を逃すまりさではない。既に攻撃態勢に入っている。 地表に飛び出した岩の一部に弓をひっかけ固定し、枝と弦をくわえ射撃準備。 ――ゆっくりとは本来、攻撃的なものである。 ゆっくりは基本的に防御を考えないイケイケだ。 自分のやりたい事は通って当然であり、自分に害は降りかかるという考えには至らない。 「ゆっゆゆゆゆゆゆゆゆ……」 馬鹿なお兄さん。 まりさは弓を引きながら、己の頭脳の明晰さと、人間の愚かさに浸っていた。 まりさは賢い。この勝負を相手が申し込んできた時に、既に勝敗は決していた。 その上で、相手は武器を手放し、まりさは人間の武器を手に入れた。 なんという巧妙な駆け引きだったのかと、自分の策に酔いしれる。 この狩りゴッコが終わったら、ゆっくりの群れに弓を持って帰ってやろう。 他のゆっくりでは、この弓を使いこなすことはできない。まりさこそが英雄だ。 人間も、どんなゆっくりも、自分には勝てない。 あの人間は『こうさん』といったら負けだと言っていた。 まりさは賢いので覚えている。それなのにあの人間は何度も繰り返した、馬鹿なのか? 馬鹿は可愛そうだとまりさは思ったので、謝ったら相手の負けでいいことに決めた。 謝 っ て も 許 さ な い け ど ね ! 「ゆっゆゆゆゆゆゆゆゆ……ゆーっ!」 限界まで弓を引いたまりさは、口から弦を離す。 その口は自然と笑みを作っていた。己が信じる未来が約束されたものの笑みを―― 「――ゆべぶわっ!?」 だからこそ、この痛みの原因がなにか理解できなかった。 「ゆべぶわわわぶも!?」 枝が飛んでいく。望まぬ方向へ。意図せぬ方向へ飛んでいく。 自分も飛んでいる。苦痛とともに飛んでいる。 空を舞いながら、不可解な状況に混乱していた。 何故? 何故? 視線の先に映る枝も何故あっちに飛んでいくのだ? その考えがまとまるよりも先に、まりさは地面に叩きつけられた。 「ぶべっ!?」 めまぐるしく襲い掛かる不条理。まりさが思い描いていた未来とは程遠いこの状況。 それでなお、まりさのブレイン、ゆっくりブレインはこの状況に対して、最適な解を導き出し、その解通りに動く。 どういうこと!? ゆっくり説明してよね!!! 「ごひゅーごひゅー! ゆぶぶべべべびぼーっ!?」 まりさにとって当然の権利である非難であり質問は、お兄さんには届かなかった。 言葉になっていなかったというべきか。 「……っ!?」 自分は何を言っているのだと、まりさは愕然としながら、更なる状況の説明をお兄さんに求めるべく、体を動かす。 叫んだ先にお兄さんの姿がなかったこともある。 そういえば、自分は空を舞って、先ほどとは別の場所にいるのだ。 何故そうなったのかわからないが、そこまで理解が届いた自分はやはり賢い。残りの説明は人間にさせればいい。 どこだ、そのお兄さんはどこだ。視線をめぐらせながら、体を動かそうとするが――動かない。何故!? 「大丈夫かい、まりさ?」 大丈夫なわけがない! ゆっくりしてないで理解してよね!!! お兄さんはさっぱり理解できていなかった。 何故? 何故だろう。何故、あのまりさはあんなことをしたのだろうか? 弓は教えたとおり固定した。 確かにまりさは弦と枝をくわえて引っ張った。間違ってはいない。 ただ固定した弓の内にその身を置いて、くわえた弦を外側に押す形で引っ張ったのは何故なのだろう。 お兄さんの理解を超える行動。まりさにはまりさの考えがあるに違いないと、お兄さんは何も言わなかった。 お兄さんは相手の自主性を重んじる。 相手に背中を見せながら、弓を射るという珍しい芸当を見せてくれたのなら、見守るしかない。 遊びとはいえ、勝負の最中に別の遊びに興じるとは、ゆっくりとは本格的ゆっくり派であるようだ。 その珍芸も終わったようなので、お兄さんは見守るのを止め、芸の駄賃にとまりさを抱え上げた。 ゆべふゆべふと、先ほどの興奮が冷めやらぬのか、言葉にならない叫びをあげている。 どうやら何かを探しているようだったので、探し物の方向へ向きを変えて地面に下ろしてやった。 「あれだろ、まりさの探し物は?」 「――ゆべっ! ゆ、ゆぶべべふぇ? ゆべっゆっ!?」 ごろんと転がった、まりさの下半身。 やはり探し物はこれだったようだ。まりさは発見に感情と身を震わせている。 なに、お礼はいらない。その反応だけで充分だ。 下顎を切り取るように、弦によって口から底部へと斜め下に割かれた下半身。 泣き別れになり中身を覗かせる下半身との感動の再会に、まりさは涙を流す。 邪魔をするのも無粋だと、お兄さん自分の作業を行うことにした。 枝を拾い、それを短く折る。ズボンのポケットから取り出した短刀で、枝先を削る。 短刀でまりさを驚かしてしまうかもと思っていたが、杞憂だったようだ。 まりさは下半身を眺めるので忙しいらしい。 お兄さんとしても、短刀でまりさをどうこうするつもりはなかった。 短刀はあくまでも加工用の道具であり、狩りゴッコの武器ではない。 お兄さんの武器は、玩具の拳銃と、カネキャップ弾と、現地調達した枝を短く折り削って尖らせた小さな杭だ。 まりさがゆっくりしていてくれたおかげで、杭を十数本作る余裕ができた。 が、まりさを待たせるのも悪い。今度はこちらが芸を見せる番だ。 「まりさ」 「ゆばばふぉっ!?」 一声かけると、まりさの怒気を孕んだ声が返って来た。やはり待たせたの悪かったらしい。 こちらを睨む眼光に銃口をあわせる。 ――なんなの?―― とまりさの瞳は物言うようであった。 怒りの中に蔑みがあった。自分より高い存在を見上げる瞳は、それでいて見下すようであった。 なんとまあ矛盾を孕む存在なのだろうか、ゆっくりは。 2秒で忘れ去るような感想を抱きながら、お兄さんはこれだけは理解していた。 この拳銃は音しかでないと、まりさは思っている、と。 ではサプライズだ。お兄さんの芸をみせてあげよう。 銃口の先に、小さな杭がはめ込まれている理由を教えてあげよう。 パンッ 引き金が引かれ、まりさの予想通り音が鳴り――予想を超えて痛みが来た。 「ゆぶーっ!? ゆぶぶぇっ!?」 まりさの左目から光が消え、それと引き換えに激痛が与えられる。 宙を舞ったときのように、中身をぶちまけながら叫ぶ。 予想外だったのはお兄さんもだ。 のたうちまわるかと思ったが、まりさはそんな無様な姿をみせず震えるのみ。 我慢強いねまりさ。頑張れまりさ。下半身も応援しているぞ。 二発目の杭を銃口の先に詰めるついでに、まりさを鼓舞する。 杭の太さは拳銃の口径に近い。隙間ができると困るからだ。 杭を飛ばす原理は空気鉄砲と同じ。きっちりと栓をしてるからこそ成り立つ。 音を鳴らすのは火薬によって爆ぜた空気。その音と空気は銃口を通って出て行く。 だから銃口の先を杭で栓をしてやれば、出口を求めた空気が吹き飛ばしてくれるというわけだ。 しっかりと杭で栓がされているのを確認すると、お兄さんはまりさにも確認を求めた。 「まりさ、続けるかい?」 「ゆびゅひゅびゅひゅぶっ! ゆびゅひゅびゅひゅぶっ!」 『こうさん』とは返ってこなかった。勝負を続ける気らしい。 お兄さんとしては、『こうさん』でなくとも、まりさが謝ればそこでゲームを終わらすつもりであったが、 まりさはゲームの続行を望んだ。お兄さんとしてはその意思を尊重する他ない。 ゆっくりは強情であると聞いていたが、なるほど最後まで意地を通す気概に溢れている。 「わかったよ、まりさ」 「ゆぶっ!」 この表情は、遅いよ馬鹿なお兄さん! といったあたりか。いや邪推過ぎる。勝手な想像だ。 「パワーもリーチもない小さな銃だけど、お兄さんは最後まで善戦するね」 「ばびぶぶべっぼがぼあっー!?」 ダミ声で叫ぶ姿に、まだ充分な体力があることが読み取れる。頑張れまりさ。 しかし、体力・意思ともに充分であれ、これは狩りゴッコ。武器がなければ意味が無い。 「ちなみに弓はあそこだよ」 指し示す方向はまりさから4m程度の距離。なに、ゆっくりでもすぐの位置だ。 「それとも一度、戦術的撤退をするのかい? ま、どちらにせよ走らないと。ハリーハリーまりさ」 「がぼひゃぶびゃびゃーっががっ!」 今の返答からは、どちらを選んだのかは読み取れなかったが、まりさは移動する気配をみせない。 つまり、まりさは、“どちらでもない”ことを選んだわけだ。 ナイスガッツ。いいガッツ。退く意思はなく、媚びる意思はなく、省みることのない継続する意思のみを感じる。 ――狩りを続けよう。 引き金に意思を宿す。ゲームの継続を望む相手とあらば躊躇いはない。 少年の頃、この杭打ち拳銃で人を狙ったことはなかった。生き物を狙ったこともない。 それは今も変わる事がない。大人になって分別がつくようになったから余計にだ。 この銃口を人間に向けることはない。生き物にも向けることはない。 ゆっくりは人間でも生き物でもない。銃口を向けることに一片の躊躇いはない。 第4ラウンド。その仕切りなおしに、開始の合図があってもいいだろうと、取り決められた言葉をお兄さんは口にする。 「ゆっくりしていってね」 このSSに感想を付ける
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※人物オリジナル注意 第七話「ゆっくり博士の実験室 ~寄生る(みのる)~」 私は人呼んでゆっくり博士。 中には虐待研究家と呼ぶ者もいるが私は快く思っていない。 虐待などと人聞きの悪い。私はゆっくりを実験台にしているだけだ。 「イレーザーは問題無く機能、と。だがやはり燃費と出力が問題か…」 私は今対ドスまりさ用レーザー照射装置「ゆっくりイレーザー」の製作に行き詰まっている。 これでも充分な殺傷能力を持っているのだが、商品化する為には出力を退化させ子供が目に入れても痛くないようにしなければならない。 それがなかなか上手く行かず、フラストレーションが溜まっていく。 …こういう時は実験だ。 私は引き出しからチューブを取り出し、外に出る。 向かう先はゆっくりの巣だ。 「ゆっくりそだっていってね!!!」 「いいこになってね!!!」 手頃なれいむとまりさのつがいを発見。すでに頭に蔓が生え、赤ん坊の姿も認識できる。 れいむが四匹、まりさが三匹生っていた。 私は二匹が寝静まるのを待ち、実験の準備を始めた。 赤れいむのうちの一匹にチューブの中身を塗る。 これは植物用の接着剤だ。主な用途は実が落ちないようにするため。また、植物に悪影響を与える心配はないので、問題なく養分を吸収できる。 これでよし。後は巣に監視カメラを仕掛け、研究室に戻る。 「ゆっきゅいちていっちぇね!!!」 「ゆっ!!!まりさ!!!うまれたよ!!!」 「れいむににてゆっくりしたいいこだよ!!!」 「「あかちゃん!!!ゆっくりしていってね!!!」」 一匹目が誕生した。それを皮切りに他の赤ん坊もポトポト落ちていく。 「「「「「「ゆっくいちていっちぇね!!!」」」」」」 「「ゆっくりしていってね!!!」」 合計六匹が誕生。しかし七匹目はまだ生まれ落ちていなかった。 「ゆっ!!!ゆっきゅいちちゅぎだよ!!!」 まだ落ちぬ妹に語りかける姉ゆっくり。 「ゆっ!!!もうすこちだけゆっくいちゅるよ♪」 返事をする妹ゆっくり。 「ゆー、みんないちどにはうまれなかったね!!!」 「しかたないよ!!!うまれたみんなでゆっくりしようね!!!」 「「「「「「ゆっきゅいちようね!!!」」」」」」 七匹目が落ちてこない理由はもちろん接着剤のせいなのだがこいつらはそんなことは知らない。 「ゆっ!!!みんなごはんだよ!!!ゆっくりたべてね!!!」 「「「「「「むーちゃ♪むーちゃ♪」」」」」」 「「「「「「ちあわちぇー♪」」」」」」 親まりさの採ってきた食事を幸せそうに貪る赤ゆっくり。 「ゆっ!!!れーみゅよごれちぇるよ!!!まりしゃがゆっくいきれーにしちぇあげるね!!!」 「おねーしゃん、あいがとー!!!ゆっきゅいちゅるね!!!」 姉まりさが妹れいむの食べカスを舐め綺麗にしてやる。だがこれは綺麗好きなのではなく「いじきたない」のだ。 まりさ種は狡賢い。早くもその本能を開花させたようだ。 「ゆっ!!!れいむもいっぱいたべてね!!!あたまのあかちゃんのぶんもゆっくりたべてね!!!」 「わかったよ!!!いっぱいたべてゆっくりすればあかちゃんきっとうまれるよ!!!」 そう言って食事を取る親れいむ。栄養が送られて来るためか頭の赤れいむも幸せそうだ。 観察を続けて数日が経った。 「きょうはごはんのとりかたをおしえてあげるよ!!!ゆっくりついてきてね!!!」 「「「「「「ゆっくいちゅいていくよ!!!」」」」」」 「まりさ!!!ゆっくりいってらっしゃい!!!」 「れいむ!!!あかちゃんとゆっくりまっててね!!!」 生まれた赤ゆっくりはまだ赤ちゃん言葉が抜けないものの、ソフトボールサイズまで大きくなった。 もう子ゆっくりと呼んでもいいだろう。 一方七匹目の赤れいむはまだ蔓から落ちない。だが母親から養分が送られてくるため姉ゆっくり達と同じ大きさになっている。 親れいむはまだ生まれない我が子に疑問を持ったこともあったが 「うまれるまえにたっぷりゆっくりしてれば、きっとすごくゆっくりしたこになってくれるよ!!!」 と結論づけた。 親まりさや子ゆっくり達も、生まれてこない赤れいむの事を気にとめる様子はなかった。 「ゆっ♪もうすこちだけゆっくいするね!!!」 赤れいむもこんな調子である。 さらに数日後。 少し変化が現れた。 「ゆっ!!!おかあさん!!!みて!!!これれいむがとったんだよ!!!すごいでしょ!!!」 「すごいよれいむ!!!もうばったさんとれるようになったんだね!!!」 「まりさのほうがすごいよ!!!おかあさん!!!ゆっくりみてね!!!」 「ゆっ!!!すごいよまりさ!!!むかでさんとれるなんて!!!てんさいだよ!!!」 子ゆっくり達は狩りを覚えた。たがまだまだ親の同伴がなければ心配だ。 「ゆー…ゆー…」 「れいむ!!!どうしたの!!!ゆっくりできる!!!」 「ゆー。だいじょうぶだよ!まりさ!れいむもあかちゃんもゆっくりできてるよ!」 「あかちゃん、まだうまれないね!!!ゆっくりしてるね!!!」 「そうだね!すごくゆっくりしてるね!うまれたときがたのしみだね!」 「れいむのいもうと、ゆっくりしてるね!!!」 「でもまりさのほうがおねえさんだから、ゆっくりじゃまけないよ!!!」 「はやくうまれてきてね!!!ゆっくりしようね!!!」 「ゆっ♪もっとゆっくりしてからうまれるよ!!!」 …親れいむが明らかにやつれ始めている。 この数日で子ゆっくり達はさらに大きくなった。まだ生まれぬ赤れいむも、同サイズまで大きくなった。 赤れいむが大きくなったことで吸われる養分が増えたのだろう。 それでも全く気にならないというところが餡子脳の神秘である。 さらに数日後。 事態は大きく動き出す。 「ゆっ!!!きょうはたいりょうだったよ!!!」 「まりさのほうがおおいよ!!!」 「れいむだってまけてないよ!!!」 子ゆっくり達はバレーボールサイズまで大きくなった。 もう一人で狩りもできるようになり、姉妹で競争するほどだ。 一方親ゆっくりはと言うと。 「ゆひゅー……ゆひゅー……」 「れいむ!!!ゆっくりしてね!!!いっぱいたべればまたよくなるからね!!!」 「ゆっ♪ゆっ♪ゆーっ♪」 親れいむは頬が痩け、顔は青ざめ、瞳は明後日の方向を向いている。 頭の赤れいむは…どういうわけか姉である子ゆっくり達よりもずっと大きくなっている。 それどころか、親であるはずのれいむやまりさを上回りかねない大きさだ。 理由は、れいむの調子が目に見えて悪くなってからの食生活だった。 「むーしゃ!!!むーしゃ!!!しあわせー♪」 「れいむもしあわせ~♪」 「れいむ、だいじょうぶ!!!」 「だいじょうぶだよ!!!ゆっくりよくなったよ!!!それよりもっとごはんたべたいよ!!!おなかがすごくすいてるんだよ!!!」 「「「よかったねおかーさん!!!」」」 「「「まりさたちのとってきたごはん、ゆっくりたべてってね!!!」」」 「ゆっ♪ゆっ♪もっとたべてねおかーさん♪れいむもゆっくりできるよ!!!」 調子の悪かったれいむは食事を採ると復活した。 しかしすぐにお腹が減り、もっと大量の食料を要求した。 母れいむの養分が吸われ続けた結果、頭の赤れいむの方が栄養の主導権を握ってしまったのだ。 故に、栄養のほとんどが赤れいむに行ってしまうため、母れいむはたくさん食べなければまた調子が悪くなってしまうのだ。 その結果、赤れいむのサイズはどんどん大きくなり、母れいむはやつれきってしまったのである。 「ま…りさ……あかちゃん…は…ゆっく…りして…る…?」 「ゆっくりしてるよ!!!だからまだゆっくりしないでね!!!」 「ゆっくりしてるよ♪もっとごはんたべてね!!!」 死の境界を彷徨う親れいむ。対照的にさらなる栄養を要求する赤れいむ。 蔓はミシミシという音を立て始めている。 さらに数日が経過。 「ゆっ!!!う……うまれるぅ……」 「れいむ!!!がんばってね!!!」 「「「「「「おかーさん!!!ゆっくりがんばってね!!!」」」」」」 「ゆっ!!!もうちょっとゆっくりするよ!!!まだうまれたくないよ!!!」 蔓…接着剤が赤れいむの重さに耐えきれなくなったようだ。 ユサユサと大きな音を立て揺れる赤れいむ。 ズシーン!!! 通常の出産では有り得ない擬音だ。 「もっとゆっくりしたかったよ!!!」 「あかちゃん!!!ゆっくりしていってね!!!」 「「「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」」」 一体どういう基準で「赤ちゃん」と呼んでいるのだろうか。 サイズは親ゆっくりより二回りほど大きくなってしまっている。 気にならないのは毎日見ていたからか。 …親れいむの方は… 「あ…か…ちゃん………ゆっくり………して………いって……」 「れ゛い゛む゛う゛う゛ぅうう゛ぅう゛ぅう゛うぅう゛うぅうう゛う゛!!!」 「「「お゛があ゛じゃあ゛あ゛ぁあぁあ゛ぁぁあ゛ぁあぁあ゛ん゛!!!」」」 「「「もっどゆっぐりじだがっだよ゛お゛お゛お゛ぉおぉぉお゛!!!」」」 ただでさえ養分を吸い尽くされ体が衰弱していたのに、これだけデカイ子供を産み落としたのだ。…落下の衝撃も響いたのかもしれないが。 親れいむは、「ゆっくりしていってね!!!」すらうまく言えず、事切れた。 「ゆっ!!!おかあさん!!!おねえちゃん!!!れいむはおなかがすいたよ!!!たべものをもってきてね!!!」 自分を産んだ親が死んだというのに呑気に食事を要求する赤れいむ。 「ゆ…っ!!!わかったよ!!!れいむはうまれたばかりだもんね!!!いまからごはんとってくるからね!!!」 「「「「「「おねえちゃんたちのとってきたおいしいごはんをたべて、ゆっくりしていってね!!!」」」」」」 この子はまだ生まれたての赤ん坊なのだ。そんな悲しいこと気にする必要はない。 死んだれいむの分までこの子をゆっくりさせてあげよう。 あれだけゆっくりしていたのだ。きっととてもゆっくりした子に育ってくれる。 だからお腹いっぱい食べてもらって、ゆっくりさせてあげよう。 親まりさはそう思っていた。 またまた数日後。 「れいむ!!!きょうはごはんのとりかたをおしえるよ!!!ゆっくりついてきてね!!!」 「「「おねえちゃんたちがゆっくりれくちゃーしてあげるからね!!!」」」 そろそろ狩りを教えてもいいころだと思った親まりさは末っ子れいむを誘う。 姉達も自分の狩りテクを伝授できると思いウキウキ気分だ。 「ゆっ!!!いやだよ!!!れいむはここでゆっくりするよ!!!」 末っ子れいむはさらに大きくなっていた。 生まれてからずっと姉妹や親より多くの食料を摂取した結果がこれだ。 「いっぱいたべて、ゆっくりしたこにそだってね!!!」 親まりさや姉妹達は咎める様子もなく、自分達が採ったご飯を与え続けていた。 「ゆ~しかたないね!!!きょうはやめて、つぎのきかいにしようね!!!いつもどおりおねえちゃんだけでかりをしようね!!!」 「「「「「「ざんね~ん!!!」」」」」」 まだ狩りをするには早い、そう結論づけたまりさは姉妹と共に森に向かった。 またまたまた数日後。 「れいむ!!!そろそろかりにこうね!!!じぶんでごはんとってこないとゆっくりできないよ!!!」 「いやだよ!!!れいむはゆっくりできてるよ!!!ごはんはおかあさんたちがとってきてね!!!」 「どう゛じでぞ゛ん゛な゛ごどい゛う゛の゛お゛おお゛ぉお゛ぉお゛ぉお゛ぉおぉお゛お゛!!!!!!」 末っ子れいむのニート化はエスカレートしていた。 「れいむ!!!おかあさんのいうとおりだよ!!!ごはんはじぶんでとってこようね!!!」 「いざというときにごはんがとれないとゆっくりできないよ!!!」 「だかられいむはゆっくりできてるっていってるでしょ!!!わかったらおねえちゃんたちはごはんをとってきてね!!!」 「「「「「「ゆううぅうううぅぅうぅうううぅうう!!!」」」」」」 姉妹達はせっせと食料を集める。末っ子れいむは狩りに参加せず、家族の集めた食料をただ貪るだけ。 挙げ句の果てには 「こんなんじゃぜんぜんたりないよ!!!もっとたくさんもってきてね!!!」 「このごはんぜんぜんおいしくないよ!!!もっとおいしいごはんじゃないとゆっくりできないよ!!!」 と言い出す始末。 働きもしないクセに口だけは達者である。 親と姉妹は「妹をゆっくりさせてあげたい」という理由で今まで食料をせっせと集めてきたが、我慢の限界が近づいていた。 そして、ある日のこと。 「ゆっ!!!ごはんのりょうがぜんぜんすくないよ!!!もっとたくさんもってきてね!!!」 「なにいってるの!!!れいむのごはんはないよ!!!」 「ごはんがほしかったら、じぶんでゆっくりとってきてね!!!」 「どう゛じでぞん゛な゛ごどい゛う゛の゛お゛おお゛ぉぉお゛ぉお゛お゛おぉおお゛!!!」 家族は末っ子の食料を用意しなかった。 狩りを学ばなければ、越冬時にゆっくりすることができない。独り立ちした時、ゆっくりすることができない。 全く狩りを覚えようとしないれいむに対する荒療治である。 自分のご飯がないとわかれば、きっと狩りを覚えてくれる気になるだろう。 親まりさはそう思っていた。だがれいむの口から出たのは、全く予想だにしないことだった。 「だったらおねえちゃんたちのぶんをちょうだいね!!!おねえちゃんたちはまたとってくればいいよ!!!」 そう言って手近の姉を突き飛ばし、間に割って入って食料を貪るれいむ。 「むーしゃ♪むーしゃ♪しあわせー♪」 「「「「「「な゛ん゛でごん゛な゛ごどずる゛の゛お゛お゛おぉお゛お゛おぉぉお゛ぉお゛ぉぉおお゛お゛!!!!!!」」」」」」 大食いのれいむはあっと言う間に集めた食料を全て平らげてしまった。 このあまりにも怠惰極まりないれいむの行動に、親まりさはついに堪忍袋の緒が切れた。 ドカッ! 「いだあ゛ああ゛ぁあ゛ぁぁああい゛!!!ひどいよおがあさあ゛ああ゛あん!!!どう゛じでごん゛なごどずるの゛お゛おぉぉぉお゛おぉお゛お゛!!!」 「ひどい゛の゛はれ゛い゛む゛だよお゛おお゛ぉぉぉお゛お゛!!!み゛ん゛な゛の゛ごはん゛たべちゃだめでしょお゛おお゛ぉぉぉお゛!!!れ゛い゛む゛はゆ゛っくり゛でぎでな゛い゛よ゛お゛お゛おぉぉお゛!!!」 「なにいってるの!!!れいむはゆっくりしてるよ!!!ごはんならまたとってくればいいでしょ!!!ばかなの???」 この言葉には親に引き続き、姉妹もキレた。 「いいかげんにしてね!!!れいむはごはんもとってこれないくせになまいきだよ!!!」 「なにもしないでごはんばっかりたべて!!!そんなのはゆっくりじゃないよ!!!」 「れいむたちのいもうとなら、ちゃんとじぶんでごはんとれるようになってね!!!」 「ばかはれいむのほうだよ!!!すこしいたいめをみてゆっくりはんせいしてね!!!」 そう言って四方八方から末っ子れいむに体当たりする姉妹達。 運動もせずぶくぶくと太っただけのれいむは何の抵抗も出来ず吹っ飛ばされる。 「い゛だい゛い゛だい゛!!!ゆ゛っぐり゛や゛め゛でね゛!!!ゆ゛っぐり゛ざぜでね゛!!!」 「はんせいしたならやめてあげるよ!!!」 「ちゃんとじぶんでごはんをとってくるってやくそくしてね!!!」 「な゛に゛い゛っでる゛の゛お゛おお゛お゛ぉぉぉぉお゛ぉお゛!!!ごはん゛どっっでぐるの゛はお゛ね゛え゛じゃんだぢの゛じごどでじょお゛お゛お゛お゛ぉぉぉぉおお゛!!!!!!」 反省の色がないれいむは就寝の時間まで吹っ飛ばされ続けた。 次の日。 「みんな!!!きょうもゆっくりかりをしようね!!!」 「「「「「「ゆっくりごはんをとろうね!!!」」」」」」 「みんないってらっしゃい!!!れいむのためにがんばってね!!!」 昨日あんな目に遭い今もズタボロなのに相変わらずのれいむ。返事をする者は誰もいなかった。 「みんな!!!こっちだよ!!!ゆっくりついてきてね!!!」 「おかあさん、ほんとにおうちにもどらなくていいの?」 「しかたないよ!!!れいむといるとみんなゆっくりできないよ!!!だからあたらしいおうちをさがそうね!!!」 「そうだね!!!あんなやつとなんかいっしょにいられないよね!!!」 「あんなやつもうれいむたちのいもうとじゃないよ!!!ぷんぷん!!!」 「おばかなれいむは、あそこでのたれじねばいいよ!!!」 家族は自分達の狩り場から大きく離れた場所を移動していた。 あれだけやっても全く更正しようとしないれいむに愛想が尽きたのである。 だから新しいおうちを探して、新しい気分でゆっくりしたい。 そして、一家は人里に降りてきた。 周りには、見たこともない美味しそうな食べ物が沢山あった。 一家は、野菜が沢山置いてある場所…八百屋に目をつけ、早速食事をとることにした。 かなり遠出をしたので腹が減っていたのだろう。 「「「むーしゃ♪むーしゃ♪しあわせ~♪」」」 「「「おいしいね!!!」」」 「「「「「「おかあさん!!!ここにはおいしいものがいっぱいあるね!!!」」」」」」 「そうだね!!!それじゃあここをまりさたちのあたらしいおうちにしようね!!!」 ゆっくりずむ宣言である。 一家は置いてあった野菜のほとんどを食べてしまった。 周囲には、それを呆然と見ている人々。 「ゆっ!!?だあれ!!?」 「みんな!!!しらないひとにあったら、あいさつしようねっておしえたよね!!!」 「そうだね!!!あいさつしようね!!!」 「「「「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」」」」 「お前らぁ!!!ここで何をやってるんだぁ!!!」 店の主人が奥から現れた。 「ゆっ!!!ごはんたべてたんだよ!!!」 「とってもおいしかったよ!!!」 「おじさんがだれなのかしらないけど、ここはまりさたちのおうちだよ!!!ゆっくりしないででていってね!!!」 グシャ。 「まりざのいもうどがあああぁぁあぁぁああぁぁぁああ!!!」 「おねえじゃあああぁああぁああああぁあああぁああん!!!」 「どおじでごんなごどずるのおおおおぉおおおぉぉぉお!!!」 「ゆっ!!!おじさん!!!ひどいよ!!!おじさんはゆっぐりでぎないよ!!! みんな!!!ひごろのかりのせいかをためすときだよ!!!このおじさんをゆっくりできなくしてやろうね!!!」 「「「「「そうだね!!!れいむ(まりさ)たちはつよいもんね!!!」」」」」 先程まであの怠惰なれいむを見ていたからか、自分達の強さを誇示しようとしているまりさ一家。 「ゆべええぇぇぇぇえ!!!」 「ゆぎゅうううぅうぅうぅ!!!」 「どおじでええぇええぇぇぇ!!!」 「いだいよおおおぉおおぉお!!!」 「ゆっぐりじだがっだあああぁぁぁ!!!」 「どおじでっ!!?まりざだぢはいままでまげだごどないのにいいいぃぃぃぃいいい!!!」 こうしてまた、人間の恐ろしさを知らないゆっくり達が餡子と化した。 一日経っても戻ってこない姉妹達。 「ゆっ!!!れいむをまたせるなんてさいていだね!!!ぷんぷん!!!かえってきたらおしおきだね!!!」 一昨日リンチされたことなどすっかり忘れているれいむ。 もう家族は既に亡き者となっているのだが知るはずもなく。 「あ!おい!ゆっくりがいるぜ!」 「うお!マジだ!しかもスゲーでかいぜ!」 「前にやられたっていうドスまりさの仲間かもしれないぞ!」 三人の子供が洞窟の中に入ってきた。 「ゆっ!!!おにいさんたちだれ???あ!!!わかった!!!たべものもってきてくれたんだね!!! そのてにもってるものがそうなんだね!!!さっさとれいむにちょうだいね!!!」 見ず知らずの存在に食い物を要求するれいむ。 ちなみに彼らが持っているのは食べ物ではなく金属バットだ。 餡子がこびりついているところを見ると、大方ゆっくり狩りの最中だったのだろう。 「こいつ馬鹿か?」と思いながら三人はれいむを取り囲むように立つ。 「ゆっ!!!なにやってるの!!!そんなことしてないでれいむにごはんちょうだいね!!!このやくただずぶっ!?」 言い終わる前に一人の振るった金属バットがれいむを捕らえた。 「な、なにずるのぶっ!!!やめでべぶぅっ!!!べいぶにごんな゛ごどじでい゛いどお゛も゛っでべええ゛えぇぇぇえ゛え゛!!!」 れいむが口を開くたびリズムに乗ってバットを食らわす子供達。 親と姉妹は何をやってるんだ。 早くれいむをたすけろ。 そしてごはんをたべさせろ。 どうしてれいむがこんな目にあわなくちゃいけないんだ。 れいむはうまれるまえからずっとゆっくりしていたのに。 このよのだれよりもゆっくりしていたはずなのに、どうしてゆっくりできないんだ。こんなのおかしい。 そんなことを考えながら、れいむは全ての餡子を吐き出し、息絶えた。 「デカいから結構かかっちゃったな」 「でもこいつ全然たいしたことなかったじゃん」 「きっと今まで運動したことなかったんだぜ。だからあんなに太ってたんだよ」 そんなことを口にしながら、戦利品の餡子をすくって食べる。 タダで餡子が食べられるため、ゆっくり狩りの人気は高い。 ぱく。 「「「こ れ は ひ ど い」」」 なるほど。 どうやら何の運動もしない怠慢なだけのゆっくりの餡子はまずいらしい。 実に面白い。 この数十日間、この興味深い映像を合間合間に観察していたおかげで研究がはかどった。 ゆっくり実験はこれだからやめられない。 おしまい 作:TOSSY ゆっくり自立するAAをヒントに書いてみました。 ゆっくりいじめ系795 ゆっくりのいる街8 このSSに感想を付ける 選択肢 投票 しあわせー! (22) それなりー (1) つぎにきたいするよ! (2)
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「奇形ゆっくり」 雪もだいぶ解けた頃。 草原には、越冬したゆっくりの姿が現れ始める時期だ。 森の中を歩き続ける僕。 僕は、ある条件を満たすゆっくりを探している。 探しているのは、単体のゆっくりではなく、子供を連れたゆっくり一家でもなく、発情したゆっくりありす でもなく、ゆっくりれみりゃなどの捕食種でもない。 僕が探しているのは、お互いを愛し合ったカップルのゆっくりだ。 それも、既に交尾を済ませて妊娠初期の…そう、そのタイミングが一番“いい”。 越冬後の初春になると、冬を生きて越すことができた安心感のためか、それとも家族計画を考えているのか、 多くのゆっくりが交尾を行う。 草原には結構な数のゆっくりが顔を出し始めているから、そろそろだと思うのだが… 「ゆっ!?おにーさん、ゆっくりしていってね!!」 「はいはい、ゆっくりゆっくり」 すれ違うゆっくりには適当に返事を返しておいて、巣のありそうなところを手当たり次第に探していると… 「ゆぅ!!ゆっくりそだっていってね!!」 「ゆっくりいいこになってね!!」 狭い入り口から中を覗くと、ゆっくりれいむとゆっくりまりさのカップルがお互い寄り添っていた。 れいむの頭には3本の蔓が生えている。妊娠初期なのだろう、つぼみは固く閉じていてまだ子ゆっくりの 原型すら出来ていなかった。 ふむ…こいつらは、丁度よさそうだな。よし、こいつらにしよう。 そう決めると僕はこいつらを連れて帰るべく、ゆっくりに声をかけた。 「やぁ、ゆっくりしていってね!!」 「ゆっ!?ゆっくりしていってね!!」 本能に刻まれた言葉を僕に返す2匹のゆっくり。 「お、れいむは妊娠してるのかな?」 「そうだよ!!もうすぐのれいむのあかちゃんがうまれるよ!!」 「まりさのかわいいあかちゃんがうまれるよ!!」 どうやら、ちゃんと望まれて生まれようとしている子供のようだ。 ひとまず安心した。そうでなくてはこれからの計画も、意味がなくなるからだ。 「よし、これから赤ちゃんが生まれる二人のために、すっごくゆっくり出来るところを用意してあげたよ」 「ゆゆっ!?ゆっくりできるところ!?」 「おにーさん!!ゆっくりあんないしてね!!」 これから親になるというのに、この馬鹿っぷりはいかがなものか。 毎度のことだが、こいつらが絶滅しない納得のいく説明がほしい。 「よし!!じゃあお兄さんについてきてね!!」 息が上がらない程度のペースで、家へと続く道を走る僕。 家まではそれほど遠くない。ジョギングのペースで走って10分ほどだ。 だから僕にとっては軽い運動でしかないのだが…どうやら、2匹のゆっくりにとっては違うようだ。 「おにーさん!!もっとゆっくりしていってね!!」 「おいてかないで!!もっとゆっくりあんないしてね!!」 普通のゆっくりなら決してついてこれないペースではないのだが、妊娠しているれいむは頭に生えた蔓が折 れないように注意しながら跳ねなければならない。 「れいむ!!ゆっくりいそいでね!!」 ペースの遅いれいむに付き添うまりさも、同様である。 「そんなにゆっくりしてると、ゆっくり出来るところがなくなっちゃうぞー!!」 「ゆゆーっ!!??いやだよ!!ゆっくりしたいよ!!」 「ゆっくりいくからまっててね!!れいむ!!もっとゆっくりはやくしてね!!」 どんなに急かしても、こいつらは一定のペース以上速くはならない。 これは…何か別の方法を考える必要があるな。 ちょっとばかり考えて、思いついたのは… 「おーい、まりさ!」 「ゆっ!?」 「まりさがれいむを後ろから押して手伝ってあげれば、早くゆっくりできるぞー!」 「ゆゆ!!おにーさん、あたまいいね!!まりさゆっくりてつだうよ!!」 さっきから2匹の様子を見てわかったのだが、れいむは蔓が折れないように注意してペースを落としている のに対し、まりさは単純にれいむに付き添っているだけ。蔓に注意を払っているわけではない。 つまり、まりさはれいむがゆっくりしている理由がわからないのだ。 ゆっくり出来るところがなくなる、という僕の言葉に焦りを感じるとともに、ペースを上げようとしない れいむに苛立ちを感じはじめるまりさ。 だから…後ろから押して手伝ってやれ、という指示にも簡単に従う。 「れいむ!!もっとゆっくりいそいでね!!」 「ゆぎゅううう!!まりさあああああああああやめてよねええええええ゛え゛え゛え゛!!!!!」 ぐいぐいと後ろから押していくまりさ。それでもペースを上げるわけにはいかず、必死に抵抗するれいむ。 だが、身重の体ではまりさを押し返すことは出来ない。 そのまままりさの力に押し負けて、ペースを上げることになってしまった。 「やだあああああああああ!!あがぢゃんできなぐなっぢゃううううううう!!!!」 「れいむ!!はやくゆっくりできるところでゆっくりしようね!!」 まりさはれいむの悲鳴を聞いてないのだろうか? これから生まれる赤ん坊すら気遣わないあたり、やっぱり頭の中が餡子なんだなぁ。 しばらくして、もう少しで家に着くというところに差し掛かると… 「まりざやめでよおおおおおお!!!…ゆぎゅ!?」 まりさに押されてハイペースで跳ねていたれいむが石につまづき、顔面から倒れ伏してしまった。 あ、これはヤバい、と思った。その角度と、そのスピードが。 ボキッ!! 3本の蔓のうち、一番細かった1本が折れてしまったのだ。 「ゆぎゃああああああああ!!!れいむのおおおおおお!!あがぢゃんがああああああああ!!!」 ゆっくりらしからぬ速さで起き上がって、折れた蔓のもとへ駆け寄るれいむ。 その後を、まりさがゆっくり追いかけた。 れいむは、滝のように涙を流しながら萎えた蔓を見下ろしている。 その後ろのまりさは、ばつの悪そうな顔をしていた。 最初は悲しみの震え…そして、その震えは怒りに変わった。 「ゆぐぐぐぐぐぐぐ!!!!まりざのせいだよ!!まりざがうしろからおしたからだよ!!」 「ゆぎゅ!?まりさはわるくないよ!!れいむがゆっくりしすぎたのがだめなんだよ!!」 へぇ、ゆっくりも夫婦喧嘩するんだぁ。 「あかちゃんがああああああ!!!れいむのあがぢゃんがあああああ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」 「ゆっ…れ、れいむのせいだよ!れいむがころんだから――― 「はい、そこまで!」 このまま見ていても面白そうだったのだが、殺し合いに発展する気配を感じたので仲裁に入る。 「今のはどっちも悪くないよ。たまたま、その蔓が細すぎたんだ。たぶん折れなかったとしても赤ちゃんは できなかったよ」 「ゆっ!?そうなの!?」 「そうだよ。だから、残りの2本を大事にすれば良いのさ」 「ゆゆ!!わかったよ!!れいむのあかちゃんだいじにするね!!」 「まりさのあかちゃんゆっくりさせてあげるね!!」 あー、⑨でよかった。 2匹の仲直りは済んだので、すぐそこの自分の家に案内する。 玄関から入っていく2匹は、終始寄り添ったまま離れようとしなかった。 2匹を専用の部屋に案内し、準備を済ませると僕も2匹と同じ部屋に向かった。 僕が抱えているのは、最近幻想入りしたという毒入りギョーザと、2リットルペットボトルに入った廃油だ。 「おーい、ゆっくりしてるかい?」 「ゆっくりしてるよ!!おにーさんもゆっくりしていってね!!」 先に与えておいたお菓子を食べつくして、2匹は文字通りゆっくりしていた。 れいむが妊娠している以上、昔のように跳び回って遊ぶことは出来ない。 2匹にとっても、今までのように跳びはねるより、寄り添いあってゆっくりしてる方が満足できるのだろう。 ギョーザとペットボトルが視界に入るやいなや、跳ね寄ってくる2匹。 「ゆゆ!?それはなに!?」 「ゆっくりできるもの?ゆっくりできるならまりさにちょうだいね!!」 おお、食いついてきた。そうでなくちゃ困る。 「これはね、栄養価の高い食べ物だよ。もうすぐ赤ちゃんが生まれるれいむに食べてもらおうと思ってね。 これを食べれば、元気でいい子な赤ちゃんがたくさん生まれるよ!」 餡子脳にも理解できるように、説明は怠らない。 すると、期待通りれいむが食いついてきた。もう期待通り過ぎて怖いぐらいだ。 「ゆゆ!!れいむたべるよ!!さっさとそれをゆっくりちょうだいね!!」 「わかったわかった。まりさも食べるか?」 「まりさはいらないよ!!ゆっくりれいむにあげてね!!」 さっきのことを少しは反省しているのだろうか、それとも夫(?)としての自覚が芽生えてきたのか。 僕としてはれいむが食べてくれさえすればかまわないので、ギョーザを適当に床に置いて、大きい器に廃油 を移し替えた。 「むーしゃむーしゃ、しあわ…せ…?」 一口食べて、早速異変に気づいたらしいれいむ。 「おにーさん!!これすっごくまずいよ!!こんなのたべられないよ!! こんなものをたべさせるおにーさんとはゆっくりできないよ!!」 「わがまま言うなよ。元気な赤ちゃんが生まれなくてもいいのかい?」 「ゆぎゅ……がまんしてたべるよ…!」 赤ちゃんのため、って言っておけば大抵のことは我慢できそうだな、このれいむ。 眉間にしわを寄せて、いかにも不味そうな顔をしながら、ギョーザをちびちびとかじっている。 ダイオキシンとか、タリウムとか、メタミドホスとか、かなりヤバイ代物らしいんだが、体調には変化はな さそうだ。 実は、毒に対してはかなり耐性があるのだろうか? 「れいむ!!ゆっくりがんばってね!!あかちゃんのためにがんばってね!!」 毒入りギョーザを栄養食か何かと勘違いしている2匹。 まりさは、不味そうにギョーザを食べているれいむを応援している。 そのあと、いろいろヤバそうなものが浮いてる廃油にもれいむは口をつけた。 「ゆぎゅ、まずい……でもあかちゃんのためにがんばってのむよ!」 「ゆゆゆ!まりさもてつだってあげるね!!」 何を思ったのか、自らも廃油を飲みだすまりさ。 お前が飲んだら意味ねーだろ(笑) 目の前の不味い飲み物がなくなればいいとでも思っているのだろうか? さすが餡子脳。僕の予想の斜め上を常にキープしている。 そんなこんなで、3日間。 蔓には、少しずつ子ゆっくりの原型らしきものが現れ始める。 僕はすでにその異変に気づいていたのだが、2匹のゆっくりは気づかない。 出産自体初めてなのだろう、こういうものなんだ、と納得しているようだ。 そして。 いろいろヤバいものを体内に取り込んでいったれいむだったが、ついに…その時が来た。 出産のときである。 部屋の真ん中に陣取ったれいむ。 それを少し離れた所から、不安そうに見守るまりさ。 2匹の数週間の愛の結晶、そして僕の“3日間の努力”の結果が…今、目の前にその姿を現そうとしている。 小刻みに震えだしたれいむ。その時が近づいているのだろう。 最初は堪えていた声も、だんだん我慢できなくなってきたらしい。 「ゆ……ゆ…ゆゆゆゆ…!!」 プチッ! ぽとっ 一匹目のゆっくりの誕生である。 「ま、まりさのあがちゃんがうまれたよおおおおお!!!」 「れいむのっ、れいむのがわいいあがちゃんんんんんんんんんん!!!!」 遠くから見守ると決めていたまりさも我慢できなかったらしい。 赤ちゃんが生まれた嬉しさのあまり、すぐに生まれたての赤ん坊のもとへと跳ねてきた。 その時点で、2匹は初めて“異変”に気づいた。 「ゆ゛……ゆ゛ぐり゛……ぢででね゛……!!」 「なんなの!!このごおがしいよ!!!おがしいよおおおお!!??」 「ゆぎゃあああああああああああ!!??へんだよっ!!へんながおだよおおおおお!!!!」 このゆっくりには、口と呼べるものがなかった。 正確には、口のなり損ないのような…上唇と下唇がところどころ途切れながら癒着しているのだ。 だから、言葉を発しようとしても『ゆっくりちていってね!!』とはならない。 プチッ! ぽとっ 二匹目の誕生。れいむ種である。 今度こそまともな子供が生まれてほしい…そう願うれいむとまりさ。 しかし、そんな願いは無残にも打ち砕かれた。 「ゆっくりぃちていってにぇ……ありぇ?うごけないよ?!」 二匹目の赤ちゃんは、言葉は比較的しっかりとしていた。 しかし、この赤ちゃんには致命的な欠陥があった。 饅頭らしい弾力性が殆どなく、中身が液体のようにドロドロしているのである。 簡単に言えば…そう、やわらかすぎるのだ。 これでは、自由に弾力性を利用して跳ね回ることは出来ない …この赤ちゃんは、一生自力では動けないだろう。 「ゆっゆっ!!ゆっくりうごいてね!!ゆっくりはねてね!!」 異常に気づいたまりさが赤ん坊を手伝おうとするが、無駄なことだった。 「ゆっ…ゆっ…うぅ、うごけないよおおおおお!!うわああああああんん!!!」 「ゆぅ!!ゆっくりしていってねええええええ!!!」 自力で動けないことに絶望する赤ちゃんゆっくり。 そんな子供を目の前にして、どうしたら良いのか分からず泣き喚くまりさ。 それを遠くから見ているれいむの顔には、疲れの色が見え始めた。 プチッ!! ぽとっ 三匹目。 「ゆっくりちていってね!!…ゆゆっ!?くらいよ!?おかーさんどこおおおお!!??」 駆け寄ったまりさは絶望した。 その赤ちゃんゆっくりには…目がなかったのだ。 「おかーさんはここにいるよ!!ゆっくりしていってね!!」 「ゆっ!?みえないよおおおおお!!まっぎゅらだよおおおおおおおお!! おがーざあああああ゛あ゛ん゛ん゛ん゛!!!!ゆッぐりじゃぜでよおおおおお゛お゛お゛!!!」 大声で泣き叫ぶ赤ちゃんゆっくりを宥めようと、まりさが頬を摺り寄せるが… 「ゆぎゃ?!なに!?なにかぶつきゃったよ!?なんなの!?わがらないよおおおおお!! ごわいよおおおおおおおおお!!だじげでよおおおおおおおおおお!!??」 「こ、こわくないよ!!おかーさんだよ!!ゆっくりなかないでね!!!」 どんなに宥めようとしても、赤ちゃんゆっくりは泣き止まない。 そして、四匹目、五匹目…と順番に生まれていく。 生まれつき音の聞こえないもの。 硬すぎて跳ねることのできないもの。 「ぎょぎょぎょ」と気持ち悪い声を発しながら、芋虫のように這うもの。 目を覚ましても蔓から離れられず、終いには頭が破れてしまうもの。 十匹生まれれば十通りの奇形ゆっくりが生まれた。 赤ちゃんゆっくりにならずに、緑色の実のままの状態で落ちたものの方が幸運だろう。 その幸運すら、この一家にはなかった。 さっきまで、生まれてきた子ゆっくりと思う存分ゆっくりすることを思い描いていた親ゆっくり。 皆で草原をお散歩したり、水辺でゆっくりしたり、巣の中で固まって眠ったり… 畑のものを食べたらゆっくりできないよ、と教えてあげたり… いろんなことをしたかった。いろんなゆっくりをしたかった。 でも、それができない。この一家は、できないのだ。 そして、そんな一家を見てると僕は性的興奮に似た絶頂を覚えるのだ。 「さて、と…」 僕は次の準備に取り掛かる。 奇形赤ちゃんゆっくりに囲まれ、未だ泣き止まない親2匹に声をかける。 「やあ、赤ちゃんはかわいいかい?」 「ゆぐっ…へんだよおおおおおお…がわいぐないよおおおおおお……!!」 そりゃあな、僕だって見てて気持ち悪いもん。 でも、自分の赤ちゃんを“かわいくない”なんて言うなんて、困った親だなあ。 「そうかそうか、かわいくないか。じゃあ捨てちゃおう」 そう言って、目のない赤ちゃんゆっくりをピンセットでつまみあげる。 目の見えないゆっくりにとっては、その浮遊感は恐怖にしか繋がらないらしい。 「なに!?へんだよ゛!?ういでるよおおお!!??ごわいよおおおおお゛お゛お゛お゛!!!」 「おにーさんなにするの!?あかちゃんをゆっくりはなしてね!!」 まりさが僕に体当たりしてくるが、さすがゆっくり、全然効果がない。 むしろ、その弾力が気持ちいいくらいだ。 「だってかわいくないんだろう?だったら捨てちゃおうよ!」 「やめでよおおおおおお!!!がわいぐなぐでもまりざのあがぢゃんなのおおおお゛お゛お゛!!」 “かわいくない”ってところは否定しないのかよ(笑) 「かわいくないなら捨てちゃうよ!!ポイ!!」 鼻をかんだティッシュを捨てるように、赤ちゃんゆっくりをゴミ箱に放り込んだ。 ゆうううぅぅぅ、と悲鳴を上げながらゴミ箱の底に落ちていく、盲目ゆっくり。 底に溜めてある熱湯に突っ込んだそいつは… 「ゆぎゃあああああああ、あづいよおおおおおおおお!!!!みえないよおおおおおお゛!!!! ゆっぐりできないよおお゛お゛お゛お゛お゛!!!あがーぢゃんだじげでええええええ!!!!」 そんな悲鳴も、十数秒すると熱湯の中へ消えた。 「さーて、次はどいつにしようかな♪」 「もうやめでよおおおおおお!!!あがぢゃんずでないでええええええ!!!」 「えー、だってかわいくないんだろー?」 「おねがいじまずううううううううううう!!! れいむのあがぢゃんだずげでぐださいいいいいいいいいいい!!!」 子ゆっくりを片っ端から捨てるのも楽しいが、そこまで頼まれたらしょうがない。 僕は妥協案を提示することにした。 「…わかった。じゃあこうしよう!」 「ゆっ!?」 期待に目を輝かせる、親ゆっくり。 しかし、その期待はすぐに打ち砕かれる。 「れいむとまりさが赤ちゃんを一匹だけ選んでね!!その子だけは助けてあげるよ!」 「ゆううううぎゃああああああどおじでえええええええ!!??」 「どおじでそんなごといいうのおおおおおおおおおお!!??」 「選ばないと、全員捨てちゃうよ!!ゆっくりしないで選んでね!!」 「ゆぐっ!?」 選ばないと…子供が全員殺される。 それだけは避けようと、2匹は唯一の生き残りとする赤ちゃんを選ぶべく、辺りを見回す。 「おがーちゃん!!まりしゃをえらんでね!!」 「れいむしゅてられたくないよ!!ほかのこをすててね!!」 「ちにだぐないよおおおお!!おがーぢゃあああああん!!」 喋ることのできるものは、その言葉で親の気を引こうとする。 言葉を発せないものは、その目で親に訴えかける。 精神すらまともでないものは、何が起きているかも感知していない。 「早く選ばないと、全員捨てちゃうよ!!」 「ゆゆっ!!やめてね!!すぐえらぶからね!!」 そして、2匹の親ゆっくりが選んだのは…二匹目に生まれた、動けないゆっくり子れいむだった。 「どおじでええええええ!!??」 「なんでそのごなのおおおおお!!??」 「そのごはうごげないごだよ!?うごげるれいむをえらんでね゛!!」 選ばれなかった子ゆっくりは、たまったものではないだろう。 自由に動けるものは必死に母ゆっくりにすがろうとするが… 「ごめんね!!あのよでずっとゆっくりしてね…!!」 れいむは涙ながらに駆け寄った奇形子ゆっくりを跳ね飛ばした。 うまい具合に僕の足元に転がってきたので、そのままピンセットでつまみあげる。 「ゆぎゃあああああ!!!はなじでよおおおおお!!!」 「ごめんねー。でもお母さん達が、君たちの事かわいくないって言うからさー」 「ゆゆぅ!?れいむかわいいよおおおお!!!かわいいからすてないでねええ゛え゛え゛え゛!!」 そんな叫びも、ゴミ箱の中へ吸い込まれていった。 2匹の親ゆっくりは、自分達が選んだ一匹の子れいむを挟み込んで守っている。 悲しみと絶望に震えながら、唯一生き残るであろう子れいむを、しっかりと守っている。 「はーい、じゃあ君達はゴミ箱行きでーす!恨むならお母さんたちを恨んでくださいねー!」 「いぎゃああああああああああああああああ!!!!」 ぽいぽいとゴミ箱に放りながら、全体に聞こえるように呟く。 「あーあ、お母さんが、あんな毒入りギョーザと食べちゃったから」 「ゆっ!?」 「お母さんが、あんな汚いものを飲んだから、赤ちゃん皆かわいくなくなっちゃったよ!」 「なにをいっでるのおおおおおおおおおお!?」 「お母さんのせいで、皆気持ち悪くて汚い赤ちゃんになっちゃったよ!」 「おかしいよ!!ゆっくりせつめいしてね!!」 「ギョーザと飲み物にはね、危ないものが入ってたんだよ!!本当は食べちゃダメだったんだよ!」 そこまで説明して、やっと理解したらしい。 母体であるれいむは…自ら汚染物質を体内に取り込んだ。 それは子ゆっくりにも蓄積されていき、結果として奇形ゆっくりが生まれた。 やっと。やっと理解したのだ。 親ゆっくりも…そして、子ゆっくりも理解した。 自分がこんな酷い目にあっているのは、母親であるれいむのせいであるということに。 僕は心無い言葉を子ゆっくりに浴びせながら、次々とゴミ箱に放り込んでいく。 「おがーぢゃんのせいだあああああああああ!!!!だずげでええええええ!!!」 「はーい、お母さんがあの子を選んだので、皆あの世行きでーす!」 「おがーぢゃんなんがしんじゃえええええええええ!!!」 「その前に死ぬのはお前らでーす!!あの世でゆっくりしていってね!!」 「おがーだんだじげで!!みでないでだずげでよおおおおおおおお!!!!」 「お母さんはあの子を選んだので、君は助けてもらえません!!ゆっくり死んでね!!」 母ゆっくりを罵倒しながら、ゴミ箱の中へと消えていく子ゆっくりたち。 その言葉の暴力に、れいむとまりさは震えながら耐えている。 「ごめんね!!……あのよでゆっくりしてね…!!」 そして、選ばれた子ゆっくりを除くすべての奇形ゆっくりが…ゴミ箱の中でお汁粉に変わった。 一旦ゴミ箱を片付け、再び部屋に戻ってくる。 親子3匹がいるほうを見ると、どうやら最後の生き残りである子れいむが、両親を罵倒しているらしい。 「おがーぢゃんのせいでじぇんじぇんうごけないよ!!ゆっくりあやまってねええええ゛え゛え゛!!」 本当はすぐに飛び掛って噛り付きたいのだろうが、やわらかすぎて動けないので、それもできない。 その上、2匹の親ゆっくりの返答も酷いものだった。 「お、おかーさんは悪くないよ!!おかーさんはわるいものたべてないよ!!」 「そうだよ!!かわいくうまれてこなかったれいむがわるいんだよ!!」 「ゆぎゅううううう!!?どおじでぞんなごどいうのおおおお゛お゛お゛!!??」 生後10分で親子喧嘩か。すごいもんだな、ゆっくりって。 「はーい、そこまで!」 この前と同じように仲裁に入る。 「いいことを教えてあげるよ。二人の親のどっちかが死んで子れいむの食べ物になれば、子れいむは動ける ようになるよ!」 「ゆぎゅ!?ほ、ほんとうなの!!?」 それは親ゆっくり2匹にとって、衝撃であろう。 どちらかが犠牲にならなければ、目の前の子は一生動けないままゆっくりしなければならない。 親2匹は…どちらが犠牲になるか、選ぶことが出来るだろうか? 「どっちが食べ物になるか、ゆっくりしないで決めてね。ゆっくりしてると、手遅れになるよ!」 「ゆぎゅ!?それじゃれいむがあかちゃんのたべものになってね!!まりさはしにたくないよ!!」 急かされたせいか、焦ったまりさが思わず本音を漏らしてしまった。 となれば、二人の“ジョーカーの押し付け合い”はもう止まらない。 「どうして!?まりさがたべものになればいいよ!!れいむはあかちゃんうんだんだよ!?」 「れいむはあかちゃんうむだけで、ぜんぜんたべものとってこなかったよ!! やくたたずのれいむは、ゆっくりたべものになってね!!」 「おがーぢゃん!!げんがはやめでよおおおおおおおおお!!!!」 これが人間だったら恐ろしい会話だが、ゆっくりの場合だと笑えてくるから不思議だ。 さて…そろそろフィニッシュといこうかな。 「そうか、どっちも食べ物にならないなら…赤ちゃんが死ねばいいよね!!」 そう言って拳を振り上げ… 「やめでえええええええええええええええええ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!」 「あがぢゃんにげでねええええええええええええ゛え゛え゛え゛!!!」 親2匹の絶叫とともに… グシャッ! 最後の奇形ゆっくりは、ただの潰れた饅頭になった。 「どっちも食べ物になってくれないなら、赤ちゃんは死ぬしかないよね!! だって、動けないままゆっくり生きていけるわけないもんね!!」 2匹は震えている。 「どうしたの?助けたかったの?でも食べ物になるほうを決めなかったよね。 助けたかったのに早く決めなかった二人が悪いんだよ!!」 それを聞いた2匹の、震えが…止まった。 そして… 「がああああああああああああ!!!???れいむのぜいだああああああああ!!!」 「まりざのぜいでじょおおおおおおお!!?まりざがたべものにならないがらああああ!!!」 2匹は、鬼のような形相で責任の押し付け合いを始めた。 「れいむのぜい!!ぜんぶれいぶがわるいの!!!ばかなれいむはゆっくりしね!!」 「ゆぎゅうううううう!!まりざがあがぢゃんだずげながったのがわるいの!!ゆっくりしんでね!!」 「ごろじでやるっ!!おおばがれいむなんがゆっぐりじね!!」 「まぬけなあほまりざは、ゆっぐりあのよであがぢゃんにあやまってね!!」 僕は外に通じるドアを開けておき、2匹を放っておいて自室に戻ることにする。 2匹の騒ぐ音がうるさいので、音楽を大音量で流してくつろぐことにした。 翌日。 2匹がいたはずの部屋を覗いてみると… そこにはゆっくり一匹分の餡子が、部屋を中心として放射状にブチまけられていた。 原形をまったく留めておらず、毛髪や飾りも残っていないので、れいむとまりさのどちらなのかわからない。 僕としては…できれば、れいむのほうに生き残っていてほしい。 あいつがまた子供を作れば、また奇形が生まれるに違いないからだ。 できれば、そうあってほしいな。 だってその方が、ロマンティックだろう? (終) 続く? あとがき 虐待スレ10の 340前後を見て、勢いで書いた! まともに読み返してないので、誤字とかあるかも!! 後悔はしてな・・・・・・いや、半分ぐらい後悔してる! でも、自分が読みたいものが書けたからOK! ゆっくり読んでくれてありがとう!! 作:避妊ありすの人 このSSに感想を付ける
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はじめに ゆっくり自爆、自滅モノです。 自分達で自滅した後、人間がトドメを刺してあげます。 ゆっくり自滅してくれ <1日目> バリン!ガッシャン!ガラスが派手に割れる音がする。 どうせ野良ゆっくりの襲撃だろう。最近多くてうんざりだ。 田舎町だし、近くに森があるから、そこら辺で繁殖してるんだろう。 「ゆっへっへ、まりささまにかかればこんなガラスなんてイチコロだぜ!」 あの脆弱な饅頭が石を使うとはいえ、どうやってガラスを割るほどの力を出せたのかは知らない。 ともかく、ゆっくりプレイス宣言だけは聞きに行こう。問題の部屋に入った俺が見たものは…… 「ゆっ……ゆっ……ゆっ……」 自分の底部に割れたガラスが刺さり、破れた皮から餡子を出して悶絶しているゆっくりまりさだった。 意気揚々と部屋に侵入したものの、割れたガラスの上に着地したのだろう。 「ゆぐっ……じ、じじい……だずげろ……」 うん、無理。ガラスが刺さってて食べられないし、捨てよう。 <2日目> バリン!ガッシャン!!ガラスが派手に割れる音がした。 「い゙だい゙よ゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙!!!!!!!」 そして、同時に悲鳴が聞こえてきた。 おい野良ゆっくり、今日はどうした。 部屋に入ると、体中ガラスまみれになったゆっくりれいむが悶絶していた。 体当たりでガラスを割って、その勢いで着地したら割れたガラスが見事に刺さったのか。 体のあちこちが切り裂かれている。 「ゆぐっ……お、おじいさん……だずげでね!」 「あのな、撮影で使うガラスとかは飴細工だから怪我しないんだぞ」 俺は悶絶するれいむに優しく諭し、優しく捨てた。 ガラスが刺さったゆっくりが一番処分に困る。ガラスと一緒に捨てられないからね! <3日目> 今日はガラスが割れる音がしない。 そりゃそうだ。換気のために戸を開けておいたから。 「いぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎ」 その代わり、入り口にびっしりと敷き詰めておいた画鋲の上で悶絶しているまりさと会うことが出来た。 「ゆっ……じ、じじい……たずげ」 「君は食べられそうだね」 「や゙め゙でえ゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙」 刺さった画鋲を全て取って、残っていないのを確認。 しかしこいつら、道中外敵に襲われないのかな? 聞いてみたら、れいむと子供達が野良猫やカラスに襲われたらしい。どうりで一匹なわけだ。 しかし焼く! 「あ゙づい゙い゙い゙い゙い゙い゙い゙い゙い゙い゙!!!」 食す! 「い゙だい゙い゙い゙い゙い゙い゙い゙い゙い゙い゙!!!」 美味い!! <4日目> 今日は部屋の中に入ってこない。さすがに疲れたか。戸は開けてあるんだが。 ……もしくは、別の家がターゲットになったのか。 そのまま夜まで待ったが、結局ゆっくりは来なかった。 眠いので寝よう。 おっと、その前に愛しのぱちゅりーとにゃんにゃんするぞー 「む、む、むちゅ、むちゅうううううううううう!!」 ちょっと嫌がってるけど愛情表現だろう。気にしない。 「お゙に゙い゙ざん゙はい゙づも゙ハードずぎる゙の゙お゙お゙お゙お゙お゙」 <5日目> 掃除のために、部屋の戸を開ける。 いつもゆっくりが侵入してくる部屋だ。どうもこの部屋は狙われやすい。 ゆっくりが侵入しやすい、一番目をつけやすい場所にあるんだろう。 戸を開けると、下からうめき声が聞こえてきた。 「「じじい!!たすけろ!!!ぢね!!」」 「ゆっ!!おじいさん、さっさとたすけてね!!」 そうだ、この部屋への入り口(いつもゆっくりがその位置からジャンプして部屋に飛び込んでくる)に 落とし穴を仕掛けたんだった。 3匹のゆっくりが仲良く入ってる。一番下は重さで潰れそうだ。 この寒い中、よく頑張ったね。ご褒美におはぎの材料になってもらうね。 「「「い゙や゙だあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!」」」 <6日目> 今日はいるかな?部屋を覗き込むと、ゆっくりがいた。 「ゆぐうぐぐうぐぐぐう」 飼いゆっくりのぱちゅりーに手を出さないように、しっかりと躾けたふらんに食べられてる。 これだけゆっくりの襲撃が多いから、何か対策を…ということで、捕食種のふらんを飼っておいた。 値段は高かったけど、ふらんはよく動いてくれるからね。 「じ……じじ……ぃ」 ジジィとだけ言うと、まりさは息絶えたみたいだ。 「う~……お兄さん……これじゃたりないよ」 「ん、落とし穴は見てみたかい?」 念のため、昨日のゆっくりを処分した後再びセットしておいた落とし穴を確認させる。 「「「ゆ゙っぐり゙ざぜでい゙っ゙でね゙!!」」」 ほぅらごらん、こんなにおいしそうなゆっくりが。 「………………ニヤッ」 仲良くふらんの胃袋に収まってね! <7日目> 「ゆっ!ここはゆっくりできそうだね!!」 「ここをゆっくりプレイスにしようね!!」 おお、今日は無事潜入できたみたいだ。 「ゆっ!!くそじじい、はやくたべものをもってくるんだぜ!!」 「ゆっくりいそいでね!!」 飼っているふらんは気紛れな子で、これだけゆっくりが騒いでるのに出てこない。寝てるのかな。 「それはそうと君達、そこから動けるかい?」 「ゆぅ?なにをいってるのくそじじい、ばかなの?」 「れいむたちがうごけないなんて、じじいはほんとうにばか……」 「「うごけないいいいいいいいい!!!!」」 落とし穴を避け、画鋲をクリアしたゆっくりに与えられる第3の試練『トリモチタイル地獄』。 普通の床にトリモチを敷くと後始末が大変だから、タイルを敷き詰めてその上にトリモチをつける。 見事にはまってくれたようだ。 「お~い、ふらん」 「「ふらんいやああああああああああああああああああああああああああああああああああ」」 ふらんがトリモチを踏んでは意味が無いので、ゆっくりが乗っている以外のタイルは全て除去。 「………………ニヤッ」 仲良くふらんの胃袋に収まってね! <8日目> ガン!!ガン!!!ガン!!! 今日は戸締りをしっかりしておいた。そろそろ本格的に寒いし。 そんな部屋の戸を叩く音がする。 ガラッ「ゆべっ!!」べしゃっ タイミングを合わせて戸を開けると、体当たりしようとしたまりさが勢いそのままに顔から着地した。 ちなみに戸は体当たりでは壊せないように頑丈なタイプに変えた。 「ようこそまりさ君」 「ゆっ!!にんげんさん!!まりさにたべものをちょうだいね!!」 「何か見返りはあるのかい?」 「ゆっ!それじゃここをまりさのゆっくりプレイスにしてあげるね!!」 「オーケイ」 髪を左半分ほどそぎ落とし、左目を小麦粉で塗り固めて、底部左側も半分焼いて返してあげた。 帽子も奪っておいたので、多分生きていくことは出来ないだろうね。 逃げていくまりさが左側に大きく旋回しているが、気にしない。 <9日目> 夕方になったが、ゆっくりの襲撃はなかった。 さすがに懲りたのかも知れない。せっかく戸を開けて、お菓子も飲み物も用意しておいてあげたのに。 「とうちゃく~!」 そう思ってたら来た。噂をすれば何とやら、だな。しかし到着って何だ。 「ゆっ!たべものものみものもあるよ!」 「さすがばかでむのうなにんげんのおうちだね!!」 「さっそくたべるよ!!むーしゃ、むーしゃ……」 「さっそくのむよ!!ごくごくごく……」 「「ゆっぎゃああああああああああああああああああああああああああああああ」」 言い忘れてたけど、お菓子は暴君ハバ○ロにハラペーニョソースをたっぷりかけたものだし、 飲み物はタバスコを一瓶そのままお皿に盛ったものだからね。 白目をむいて悶絶している2匹をふらんに与えてみた。 「……お兄さん、クソまずい」 「こら、言葉遣いがお下品だぞ」 <10日目> しかしゆっくりってどうしてこんなに数が多いんだ。そろそろネタ切れだぞ。 と思ったら、今日は本当に襲撃してこなかった。 もしかしたらゆっくりは諦めてくれたのかもしれないね! ~ゆっくりの会話~ 「ゆっ!きょうこそはなかまたちのかたきうちもふくめて、ここをうばうんだぜ!!」 「まりさぁ、もうやめようよ!このいえはゆっくりできないよ!!」 「……ゆぅ……やっぱりやめようか…だぜ…」 「ここよりほかのおうちにいこうよ!ゆっくりできそうなおうちはおおいよ!!」 「そうだぜ!おちびちゃんたちもいるし、ここはゆっくりできないからあきらめるぜ!」 「「「「まりしゃおきゃーしゃん、こんぢょはどきょにいきゅの?」」」」 「ゆっ!ここからちかい、あのおうちにいくんだぜ!」 「「「「ゆっくちできちょう?」」」」 「まりささまのめにくるいはないぜ!さあ、ゆっくりいそいでうばいにいくんだぜ!」 「ゆっ!まりさについていくよ!!」 「「「「まりしゃおきゃーしゃん、まっちぇ~!」」」」 ~会話終了~ ……数刻後。 ガシャン!!バリン!! 「ゆっ!ここならゆっくりできそうだぜ!!」 「ここをゆっくりプレイスにしようね!!」 「ばかでむのうなにんげんなんてまりさにかかればイチコロだね!」 「「「「ゆきゃきゃきゃきゃきゃきゃ!!」」」」 「さ~て、さんざんわらったところで、こうれいのアレ、いくんだぜ!」 「ゆっ!!おちびちゃんたち、せーの」 「「「「ゆっくちしちぇいっちぇね!!!」」」」 声高らかにゆっくりプレイス宣言。 『いらっしゃ~い♪』 「ゆっ?」 そこに現れたのは、一人のお兄さん。 「ゆっ!くそじじい、ここはまりさたちのおうちだよ!!」 「ごはんをよういしたら、さっさとでていってしんでね!!」 「「「「しゃっしゃちょちんでね!!!」」」」 『んふふふふぅう~、これはとてもイジメ甲斐のありそうなゆっくりだねぇうふふうふふ♪』 まりさたちの背筋(?)に悪寒が走った。 卑屈な笑みを浮かべ、口から涎を出し(目は光っててよくわからない)、下半身むき出しのお兄さん。 手をワキワキと鳴らしながらまりさ達に近づいてきた。 「ゆっ……ゆっ……くり…………にげるよ!!!!!」 「ばりざああああ!!でいぶとこどもだぢをおいでがないでええええええ!!!」 「「「「まりしゃおきゃーしゃん、まっちぇええええええええ!!!」」」」 再び割れたガラスから逃げようとするまりさ一家。 しかし、 『ん~ふふふふぅふうぅ~どこへ行くのお兄さんから逃げられると思うの馬鹿なの死ぬの』 あっさりと捕まった。光の速さで用意された<透明な箱>に入れられるまりさ一家。 『ん~ふふうふふふ、今夜はオールナイトで楽しみましょうねぇ♪』 パチン、と指を鳴らしたお兄さん。その背後から、ニュッと虐待道具が姿を現す。 ありとあらゆる道具が揃ってるみたい。よかったね、まりさ一家。 「だずげでええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!」 のどかな田舎町に、一家の悲鳴がこだました。 ********************************** 終わりです。読んでくださった方々、ありがとうございます。 こういうネタだと筆が進むのも早いです。 次の機会がありましたら、また読んで頂ければ幸いです。 今まで書いたもの すっきり魔ありすの調査? ゆっくりぱちぇ 必殺……?1~3 ゆっくり現代を生きるよ! このSSに感想を付ける
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ゆっくりを低温度であぶりつづけると、臨界を迎えて爆発 することは有名である。 とはいえ、外皮が薄いため、うまく破裂することは少ない。 だが技術の進歩はすさまじく、ゆっくりの加工、あるいは改 良ゆっくりを生み出すことにより、技術的問題を克服し、ゆ っくりを軍事転用することが可能となった。 所謂、悠(ゆっくり)式計画の成果である。 悠式計画の最終目標は、巨大高機動ゆっくり母艦の開発で ある。機動式ゆっくりは、複数のゆっくり皮を連結し、内部 に餡を詰め込むことで生産される。従前では、機動的だとは とても言えない出来であった。薄皮のため連続運用に堪えら れず、常に分解整備を必要とするため、コストが尋常でなく 跳ね上がるのだ。連結部分も脆弱なため、防禦力が薄く、そ のため攻撃や運動性が著しく低い。これならば、軽歩兵ゆっ くりを直接投げつけたほうが、現場の効果は期待できる。 だが悠式機動ゆっくりは、ただ餡を皮で包んだ、でかマン ジュウとはコンセプトがまったく異なる。機敏に、かつ重厚 な攻撃力を目的に開発されるのだ。ブロックごとに皮で包ん だ餡と、その中で個別に連動させる乖離型ゆれまり機関はか つてない繊細さと力強さを発揮出来る。電子連動された餡核 同士が密接に疑似ニューロネットワークを作り上げることに より、簡易的ではあるが量子演算と疑似人格を持たせること が出来る。統一的かつ機能的に、すなわちまさしく機動的な 運用が行われることになる。 国がいくつか傾くほどの予算と時間を費やして――実際に 傾きすぎていることは置いておく――、ついに開発が終了したのだ。 ・ ・ ・ 「ってことに、なっているわけだが!」 俺は嘆息して、実験場に詰まれたくず山を見上げた。 「もしかしてこの腐った餡の山がその高機動なんちゃら じゃあありませんよね?」 俺の嫌味な視線を軽くいなして、尊敬すべき偉大なる上 官は受け答えた。 「いいかね、我らの敵はあまりにも強大だ。だからこそ、 この計画に期待が集められ、そしてついでに金を集められ たのだ。悪鬼殲滅こそが至上目的であって、つまり敵国を 滅ぼすのが我らの使命なのだが」 ゆっくりの加工工程について書かれた原稿用紙を何枚か 摘み上げながら、続ける上官。 「……なんとか来週までに殲滅してくれんかね」 ・ ・ ・ 「ゆっくり! ゆっくりだよ!」 「わー! ゆっくり出来るよぉー!」 次々と空を舞うゆっくり達。 基地からは盛大な拍手と、壮行の万歳が行われていた。 「ゆっくりー! ゆっくりしてくるからねー!」 「ゆー、ゆー♪ 空、ゆっくりだー♪」 数千、数万にも及ぶゆっくりの飛行編隊は、風の向く まま流されていった。 ・ ・ ・ 「少し、寒いね! でも空高いんだね!」 基地から飛び立ち、数十分程。 ゆっくりよりもよりゆっくりした気球に括り付けら れたゆっくり達は、快適な空の旅を楽しんでいた。振 り落ちないよう、台座ではなく、銅板にすっぽりと包 まれたゆっくり達は、ちとせゆっくりのように滑稽で はあったが、気にする者はいなかった。 また銅版は微弱だが電波を送受信出来るため、互い のゆっくりがおしゃべりするのに何も問題はなかった。 「でも少し怖いね! ゆっくりできるかな!」 「大丈夫だよ、だってこんなに気持ちいいもん! れいむなんだかゆっくり眠いかも……」 ゆわーっ、と大きくあくびをして、ゆっくりと寝入 り始めるゆっくり達。 気球は空を飛びつづける。 ・ ・ ・ 「さむ……ゆっく、さむぃ……」 「寒いねえ……でも、オヒサマきれー」 現在の高度は約2000メートル。 夏場とは言え、流石に寒さが身にしみ始める高度だ。 「白い海だよ! 寒いけどゆっくりできるよ!」 雲海の狭間に沈む夕日は、どこまでも幻想的で、 そしてゆっくりであった。 「ゆっくりしていくね! でも寒いね!」 ・ ・ ・ がちがちと震えが止まらない。 真っ暗な世界で、ゆっくりの身をまとう銅板が、 容赦なく体温を奪ってゆく。叩き付ける強すぎる 風に煽られ、翻弄されながら飛んでゆくゆっくり達。 高度8000メートル。極寒の世界だ。 「ゆっぅっ! さっ!! む゛ううう!」 「うぎゃああああ! だずげでえええ! だず げえええ!」 「どうじでごんなー! あ゛あ゛あ゛!!」 穏やかな気候の下で育てられた彼女達は、10 度を下回る世界ですら極寒となる。ましてや、零 下20度だなんて、「これぞまさしく冷夏だね! 」と言うギャグを放つ気力すら奪う程に寒い。 ばりばりとした冷気は、ゆっくり達を蝕んでゆく。 ゆっくり、ゆっくり。 ・ ・ ・ 「いだいいいいいいいいいいいいいい!」 ゆっくりのだれかが叫ぶ。 乾ききったこの世界で、あまりにも寒い空の上 で、さらに冷たく光る銅版は、ゆっくりの後頭部 を裂き始めた。冷たくなった銅版は、ゆっくりと 中身を締め上げ、また冷気は皮膚を冷たく焼き切 る。びり、びりいと音が聞こえて来るような程、 今までにない悲痛な表情を浮かべるゆっくり。 「も゛れっ! やあああああ!」 側頭部から後頭部にかけて、ぴっちりと銅版に 覆われているため、中身が漏れることはないのだ が、ゆっくり達にわかるはずもない。 後頭部の避けるゆっくりの数は次第に増えてゆ き、ある者は白目を向き、ある者は虚ろに笑いな がら、空の旅は続く。 暗い海の空高くに輝く三日月は、そこに住まう 者のように笑っているようだった。 ・ ・ ・ 「……ゆ?」 暖かい。 先ほどから、寒いのは変らないが、少し暖かく なってきていた。雲の切れ目から見える青い海は、 夜とは一転して輝いて見えた。時刻は昼より少し 前だろうか。 「あれ、ゆっくりできる!」 「ゆー! ゆーっく!」 「きっと、基地のおにいさん達が助けてくれた んだよ!」 誰かが気が付いたように叫ぶ。 「おにーさん、ありがとー! ゆっくりできる よー!」 「ゆっくりー♪」 ゆっくりし始めたゆっくり達は、ゆっくり出来 たため裂けた後頭部も癒えてきたようだ。 ・ ・ ・ 「あ゛づいいいい! あづ、ゆ、寒あづいいい!」 遮るもののない中空で、太陽光を存分に吸収した 銅版は、くるまっているゆっくり達を熱で苛んでいた。 また、ゆっくりの上に設置された発熱装置自体が、 更なる熱を生み出していた。 「ゆ゛ふううううう! ぶぐううう!」 「ゆっぐりじだ、ぐうううう」 全員が顔を真っ赤にさせ、くちをぱくぱくとさせている。 泡を吹いて気絶できた者は幸せだろう。 ふと、陸地が見えた。 「ゆっくり! ゆっぐりでぎるがなあああ!」 ゆっくり飛行船団は、ゆっくりと陸地を横断し始めた。 ・ ・ ・ 「ちゃくちー! もうすぐちゃくちだよー!」 熱は大分収まったようだ。 ほとんどのゆっくりは起き出して、始めてみる異国 の町並みを見下ろした。 「綺麗だねー!」 「ゆっくりできるね!」 「ゆっくりしていってね!」 こちらを見上げる人々に向かって、みんなで挨拶を交わす。 「ぱれーどだー♪」 先頭のゆっくりが、こちらに向かってくる軍隊に気が付いた。 「どこどこ?」 「ゆっくりできる?」 突然、銅版が灼熱の輝きを発した。 「う? う゛、……うぎゃああああああああづびい いいいいいいいいいっくりいいいいいいいいいいいい いいいいいいいいいぎゃぶっ」 高度計と時限装置の組み合わせられた発熱装置が、 最後の燃焼を開始し、ゆっくりの最終臨海を導いた。 大きな爆風は、まだ遠かったため町並みを少し揺らし ただけに過ぎなかったが、ゆっくり達の心は千路にかき乱された。 どおうん! 断末魔と共に、爆発音がそこかしこで湧き上がる。 逃げ惑う人々。 だがゆっくりが逃げることは出来ない。 ゆっくりが逃げることは、出来ないのだ。 「やだああ! ゆっぐりでぎな゛っ!!」 防衛部隊に狙撃され、一瞬で絶命したゆっくりは、 爆散することなく地上に降り立った。恐慌は、数キ ロに渡って続くゆっくり飛行船団の末尾にまで広がった。 あと十数分で、運命を委ねなくてはならないこと を理解しているゆっくりはいなかった。理解しても 無意味ではあったろう。 二昼夜に及ぶ地獄の航行の末路が、灼熱の爆死か、 必殺の狙撃か。ただその二択しか待ち受けていないことなど。 ・ ・ ・ 大本営発表 本日、悠式計画の最終段階である飛行船団ゆっく り爆弾は、敵本土を焼き尽くし、悪鬼の心に拭えな い恐怖を植え付けたことを報告する。 これにより悠式計画は一応の成功を迎え、次の段階に進…… ・ ・ ・ このSSに感想を付ける